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小説 舞の楽園 ( 障害者の息子 )

   
         障害者の息子   < 36 >
    今まであったことはほどんと全部施設長さんにお話しいたしました。
 勿論、息子との性生活のことは、お話しをボカシました。私自身の恥を晒すようで恥ず
 かしかったのですもの・・・幾ら親代わりの施設長さんでも・・・です。
 だけど・・・息子のことを正人様と呼んで、逞しい男性としてお仕えしていることは
 隠しようがありませんでした。
 ちょっと、お話しし過ぎたかも知れないと思いましたが、彼は黙って聞いてくれまし
 た。
 「わたくしのことを貞節のない女だとお思いになるかも知れませんが、わたくしは
 息子の正人様とこれからも一緒に生きて行きたいと思います。正人様がわたくしが
 女になることをご希望しています。・・・と言うよりは、要望しておりますから、わ
 たくしはこれからは女になって生活をしたいと思いますわ・・・」
 と締めくくったのです。

  「話は判りました。正人君の言うことを聞いて、女性になりたいのですね。それで
・・・僕に何をしてくれ・・・と言うのですか?」
私が話を切って俯いていますと、彼は聞いて来ました。
「わたくしは覚悟を決めました。息子の正人様のオンナになったのですもの、世間の
人達に謗りを受けることは覚悟の上で女として生活をしたいのです。」
「男としてお勤めをして、家に帰って女として正人様にお仕えする生活に疲れてし
まいましたの・・・」
今までのお話で真っ赤になっているでしょう顔を上げまして施設長さんの目を見詰
めました。
「施設長さんにはご迷惑をお掛けすることになるとは思いますが、これからは女性
として施設のお仕事をさせて頂きたいのです。お許しを頂きたいと思いまして・・
・」
「施設長さんには、これまでのわたくしを庇っていただきまして、ありがたいこと
 だと感謝しております。今日もこうしてお願いすることは心苦しいのですけれど、
わたくしはもう耐えられないのです」 
私はそう言って、頭を深々と下げていたのです。

「いいんじゃないの・・・それだけの覚悟があるならば・・・。女性となって勤務
することは構わないんじゃないの。しかし・・・苦労すると思うよ・・・」
施設長さんはちょっとの間考えていましたが、そう言って新しいタバコに火を付け
ていました。
厳しいけれども人情味に溢れたこの施設長さんに、本当のことをお話しして許可
まで頂いたと思うと、私は涙が溢れて来ました。
今まではお話に夢中で、涙なんか流す暇は無かったものと思われます。(続く)

 

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コメント

No title

まあ、仕事とプライベートは別ですからね。
施設長はその辺は理解しとかないといけないですけどね。
ウチの職場もそれぞれの事情を抱えて、
仕事をしている人がたくさんいますからね。
その辺、院長も現場主任も上手くコントロールしていると思っております。
(∩´∀`)∩

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