オトコとオンナの関係 ( 20 )
「わたしは斎藤と申します」
「わたしは育子と申します。宜しく・・ね」
ご夫妻もニッコリと笑って自己紹介をしました。目を見合わせて笑っていますが、僕を
若いツバメだと思ったようです。でも・・『他人のことでもあるし、素知らぬ振りをしよ
う・・』としています。
「早苗さんとおっしゃるのね・・綺麗な方ね。独身かしら・・?」
斎藤さんの奥方の育子さんは自分たちの方が年上だと思ったようで、砕けた物言いにな
っています。でも実際は早苗の方が5歳くらいは年上なのです。
『完全に女として見ているのだ・・しかも、年下の女として・・』と思った僕はそれだ
け早苗の化粧が上手になったということなのか‥と満足していました。
「お肌も真っ白・・だわ。それに・・シットリしていらっしゃる・・のね」
育子さんは早速早苗に話しかけています。
昨晩、市場で買った赤い細い肩紐だけのドレスを着ている白い肩に手を触れて羨ましそ
うです。
早苗が男であるなんね・・夢にも思っていない仕草です。
「そんな・・奥様だって・・素敵ですよう・・」
剥き出しの肩に触れられた早苗は一瞬ビクッと肩を震わせましたが、内心の動揺を覚え
られないように甘えて返事をしております。
この甘えが、これからの2人の関係を示すことになるとは早苗も僕も分かってはいませ
ん。
女性2人が仲良く話を始めましたので、自然と僕と斎藤さんが話をすることになり
ました。
「どちらから・・です・・?」
「僕は埼玉ですが・・早苗は大阪からです。あなたは・・?」
「わたし達も埼玉なのです・・。埼玉の・・何処です・・?」
僕が答えると斎藤さんは驚いた見たいに、何処です・・と聞いて来ました。
「吉川です」
「そうですか・・。わたし達は岩槻なんです。近いですね・・子供が居なくって・・
年中こうして旅行しているのです・・」
斎藤さんは奥様の方を見ながら、薄くなった頭を触って髪を搔き上げていました。
「あなた。お土産屋さんの中をちょっと見てもいいかしら・・?」
ちょっと中年太りしている奥様はもう立ち上がってから、ご主人の同意を取り付けて
います。
「喫煙所で待っているよ・・」
「早苗さんも・・行きましょうよ・・!」
ご主人が頷くよりも早く、早苗を誘っていました。
下の市場でこれも買った、ヒールの高さが5cmもある白いサンダルの底を見せて
早苗と奥様は仲良く手を繋いでお店の中に歩いて行きます。
同じ位の背格好で同じような年齢の2人が(いえ、どちらかと言うと早苗の方が若く
見えました・・)水上レストランと併設のお店の広いお土産屋の方に行くのを見送る
と、2人の身体が良く似ているのです。
2人共に158cmぐらいで、何かポチャとしていまして、腰回りも出ている腕の
太さも同じくらいなのです。(つづく)
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