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小説 舞の楽園 (転落の人生 )


         転 落 の 人 生   { 2 } 
   頬をピシャ・ピシャッと2度ほど張られて、私は目を覚ましました。
 眸を開けると、いつもの板張りの下宿の天井とは違う、白いモルタルの天井が見えてい
ます。
 即効性の睡眠薬の効果はもう切れる時間だったのでしょう・・私はボンヤリした頭を振
 り、辺りを見回したのです。
 それは・・ラブホテルの一室見たいな造りでして、片側の壁には大きな鏡が張り付いて
 いまして、鏡の中には大きなベッドの上に丸裸で両手を頭上に上げた人間と、それを見
 下ろすしている若い男が写っています。
 初めは眩しくって良く見えませんでしたが、鏡の中の若い男はニヤニヤと
 笑っているようです。
 鏡の中の両手を上げている男をもう1度見ますと私です。
 ハッとしまして身体を縮めようとしましたが、両手を頭上で縛られて、良くは見えませ
んが足元は右足は右側に左足は左側に大きく開かれて、やはりベッドに括り付けられて
いるようです。
脚を引いて身体を見ようとしましたが、それも出来ませんでした。

 もう1度、鏡の中で笑っている若い男をみますと、先程の料亭で「アホウ」と呼んで
いた部下の斎藤です。
驚いて反対側に立っている彼の方を見たのです。
「部長。お目覚めになられましたか・・?」
黒いトランクス1つの裸の彼は私が目を覚ましたのを見下して、今まで聞いたことが無
いような馬鹿丁寧な言葉を使っています。しかし、私を侮辱していることは明らかです。
「貴様ァ・・何をしているんだ・・!!」
瞬間的にカッとなった私は斎藤に向かって叫んでいました。そして・・飛び起きようと
したのです。
しかし、身体が動きませんでした。両手を頭上で縛った紐とを縛った紐が邪魔をして、
飛び起きるどころか動くことも出来なかったのです。
初めて私は全裸でベッドに括り付けられていることを認識したのです。
「これを・・解け!お前は何をしているのか判っているのか・・!」
頭に血が登っている私は、自分が全裸で縛られていることも忘れて怒鳴りました。

 「どれどれ・・部長様のお目覚めですか・・」
怒声に、私の視界にもう1人の男が現れました。
やはり私の部下で「馬鹿」呼ばりをしていた渡辺です。彼の姿も斎藤と同様にパンツ
1つの裸です。違うところは彼は茶色のボクサーパンツを履いているところです。
彼もニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながら「部長様・・」と言っております。
「お前ら・・こ、こんなことをして・・・。タ、タダで済むと思って・・いるのか?」
彼等の理不尽な行為に対して、怒りで私の言葉は途中で途切れていました。
「部長よ。あんた日頃から・・どれだけ俺達を侮辱したのか、判っているのか・・?」
足元で中年特有の太い声が聞こえました。部下の佐伯の声に違いありません。
不自由な頭を起こして驚愕の表情で足元を見ますと、さっきまで「無能者」呼ばりを
していた佐伯がビールのコップを置いて立ち上がるところでした。(つづく)
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