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小説 舞の楽園 ( 転落の人生 )


         転 落 の 人 生   { 8 }
   「もっと鞭が欲しいのか・・?」
 私を打った興奮からか、それとも快感からか眸をギラギラさせています。
 「いえ・・もう、もう打たないで・・下さい。そうです・・わたしは福島美雄です・・」 
 ベルトとは云え、鞭で打たれる恐怖を文字通り叩き込まれた私は泣きながら答えていまし
 た。
 もう強がりや、虚勢心は何処を探しても私の心には残っていませんでした。『このまま
 殺されてしまうのじゃないか・・』と恐怖の中で考えました。

  「そうだ!俺の質問には素直に答えろ・・!」
 「お前に名前を与えてやる・・!福島美雄では如何にも男名前だから・・折角女になった
 のだから・・」
 「そうだ!美子(ミツコ)がいいだらう・・お前は今からマゾ牝美子だ・・!」
 私が恐怖に震えていますと、ますます頭の乗ってSになった斎藤は私に「美子」と言う
 名前を与えてくれました。

  「マゾ牝美子。折角女名前を与えて下さったご主人様にお礼を言うんだ・・」
 普段はノッペリとした顔をしていまして、怒ったことも無いような感じのする斎藤が眸
をギラギラさせてご主人様になっております。
私はそのギャップに恐ろしくなっていました。
「『わたくしを女に・・マゾ牝にして下さいませ・・」と言え!』
“ヒューン。バシッ”
「・・・・」

そんなことはとっても言えません。すると又ベルトの鞭が下腹部の小さい突起を目掛け
て振り下ろされました。
「ヒィィ・・。イタイ~ッ。言いますぅ・・打たないで下さい。言いますから・・」
人間の1番弱いと思われる突起を打たれて私は跳ね上がり、1撃で屈服しました。
足元に座っている2人は斎藤のS振りに驚いたように顔を見合わせておりました。

「フンッ。言って見ろ!お前はマゾ牝なんだから、出来るだけマゾ牝らしく言うんだ!」
斎藤の様変わりの態度に、私は恐ろしくって震えあがってしまっています。もう上司で
ある威厳なんてものは完全に放棄しておりました。
「わたくしが悪うございました。許して下さい。何でもいたしますから許して下さい」
人間って言うものは、特に普段威張っている人間ほど、1度折れると弱いものです。
『このまま殺されるかも知れない・・』と言う恐怖が湧いて来まして、女のように細い
声で謝っていました。
兎に角この場だけは何としても逃れたかったのです。
「何でもする・・だって?俺はマゾオンナになれと言っているんだ・・!」
「マゾオンナになんか・・なれる筈がありません。他のことなら・・何でもいたしま
す。だから・・許して下さい・・」
斎藤の言い分にムカッと来た私は、怖さも忘れたようにちょっと強い口調で反論しま
した。(つづく)
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