小説 舞の楽園 ( 転落の人生 )
- 2020/05/12
- 00:19
転 落 の 人 生 { 45 }
「なぁ・・縛らせてくれないか・・?」
社長さんが言い難そうに言い出したのは、1回戦が終わって浴室へ行って洗って上げて
いる時でした。
四つん這いになった私の白いお尻をバックから貫いてチュウソウしていると、彼のもの
が柔らかくなってしまったのです。
『如何したのかしら・・』と不思議に思ったのです。私の肉体の中には彼は射精はして
いないみたいなのにです。その時の彼の顔は『情けないなぁ・・』と云った表情を見せ
ていたのです。
そして・・柔らかくなってしまったものを抜いて、浴室に入って行くのです。
「エッ・・」
思わず、彼の顔を見ました。彼は真剣な目付きをしています。
こう云う商売をしておりますと、サドっぽいお客様にも随分と会っています。しかし・
・私は肉体の自由を奪われるような行為はさせてはいないのです。
縛りなどをして、身体の自由を奪われてしまったらば危険なのです。殺されないまでも
お金を奪われて逃げられても仕方が無いのです。
返事をするのを躊躇っておりますと、彼はなにごとか考えていました。
彼が浴室を出て行った後、洗面所でお化粧を簡単に直しましてベッドルームへ行きま
すと、彼はブリーフを履いていました。
小さな机の上には彼の名刺と免許証が置かれています。
「俺はこう云う者だ!名刺だけでは信用して貰えない・・と思って、免許証も用意した。
俺はお前を縛って抱きたいのだ・・」
「最近は起ちが悪くなって・・な。どうも・・縛らないと最後までイケナイような気が
してな・・」
バスタオルを胸高に巻いた私がソファーに浅く腰を降ろしたのを見た彼が言いました。
彼は大塚良と言います。高崎の食品会社の社長さんのようで、免許証にも彼が写って
おります。
「わたしみたいな男娼に身分を打ち明けてもいいのですか・・?でも・・こんなことを
してくれたお客様はいないから・・感激だわ・・」
最初の私の口調は冗談のようにワザと蓮っ葉に言っておりますが、「でも・・」以下は
この社長さんの誠実な行為が嬉しくって、最後の方は感極まったように言葉にはなり
ませんでした。
「何を泣いているんだい・・?俺が可笑しなことを言ったかい・・?」
社長さんは自分の言葉が私の涙腺を刺激したことを知らない見たいです。
「ううんっ・・こんなわたしを信用してくれるのか・・と思うと・・」
「こんなことは・・初めてだけど。お前なら・・と思ったんだ」
荒んだ私の生活は信用とか信頼に飢えていたみたいで、顔を覆って泣き出してしまっ
たのです。社長さんは私の肩に手を掛けてそう言ったのです。
『こんな・・見ず知らずの男娼を信用して下さるのだわ。その信頼にお答えしなけれ
ば・・』と考えた私は顔を傾けて、社長さんの逞しい背中に両手を廻してキスを受け
入れていました。
それは激しいキッスで唇を合わせている時も私は消失状態で喘いでおりましたし、唇
が離れると舌が顔中を走り回るのです。
『折角したお化粧が取れてしまうわ・・』と心配をしています。(つづく)
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