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小説 舞の楽園 ( 息子の友達 )


         息 子 の 友 達    { 33 }
   自分の愛欲のために息子までこの家から追い出してしまった私は悪い女です。
 その報いは3か月後に突然訪れたのです。
 もうその頃には、完女になっていました。眉も極端に細くして、お化粧も上手に
 なっていまして、もう何処から見ても完全に女としか見えなくなっておりました。
 自分の生活費くらいは自分で稼ごうと思いまして、朝の8時から3時までと云う
 条件で、家から1駅離れたところにあるコンビニで働くようになっていました。
 女としてです。本当のことを申しますと、履歴書には別れた妻の履歴を書いてお
 店に提出したのです。
 コンビニでは、私はお淑やかな美人の奥さんが居る・・と云うことで、お店の売り
挙げには貢献している・・と思っています。

 問題のその日は暑い日でした。お店は清涼飲料を買うお客様で結構賑わってお
りました。
私がお店の商品を入れ替えておりますと、「お父さん・・?」と言う声が突然耳
元でしたのです。
「ハッ」として振り返ると、白いフードを付けた帽子と白の開襟シャツに黒の
ズボンの男の子が立っていました。帽子の下の顔を見ると息子の光太です。
光太は私がレジを打っている時に、お店に入って来たらしいのです。
そう言えば、3人程の中学生らしき男の子が入って来たように感じていますが、
ちょうどレジを打っている時でしたので、「いらっしゃいませ」と言って気にも
留めませんでした。
2時半を少し廻っていたと思います。

 お家に帰る途中で光太に聞いた話ですが、光太は私を見てピーンと来たそ
うです。「目がお父さんの目だった・・」と申していました。
その話を聞いた時には、私は女になっていたことがバレた恥ずかしさよりも、
「血は水よりも濃いのだ・・」と言うことを実感していました。

 「アッ・・」
しゃがんで制服のちょっとミニのスカートからパンストに包まれた足を出して、
商品の入れ替えをしていた私は固まってしまいました。
だって・・女になっていることを1番知られたくなかった息子の光太に見つか
ってしまったのですもの・・
「光太・・どうして・・ここに・・?」
その時に否定すれば良かったのかもしれませんが、思わず口走ってしまって
おりました。
光太はちょっと背が伸びたようです。

 「やっぱり・・そうなんだ!」
光太は蒼い顔をしてそう呟いていました。そう声を掛けられたときに私は1舜
パニックに落ち入っておりました。
2言目の言葉で、翼様と私のことを知っていると直感したのです。
思わず辺りを見回しておりました。幸い私と光太の居る場所はお客様もいなく
て、お店の人も気付いてはいないようでした。(つづく)






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