小説 舞の楽園 ( 息子の友達 )
- 2020/10/14
- 23:47
息 子 の 友 達 { 35 }
「入って・・」
マンションの鍵を開けて、息子を中に迎え入れています。
もう完全に女言葉です。帰る途中の沈黙に私は開き直っていました。
3DKのマンションの中は、南側にある4 ,5帖の息子の部屋はそのままにしてあります
が、他の2部屋とDKは女の居住空間に変っております。
「お母さんの匂いがする・・」
DKに入った息子が付いた呟きました。
そうなのです。光太の母親の残した香水を着けていましたから、お部屋の中にはその匂
いが留まっていたのです。
「お父さんは女になったのだね。お母さんと同じ女になったのだね・・」
翼様に比べて数段幼い息子は『ひょっとすると性と言うものが環境によって変えられる
ものだ・・』とでも思っているかのように、あどけない顔をして言いました。
いえ、本当は知っていたかも知れないのですが、息子は知らない振りをしていたのかも
しれません。
息子は親父を傷つけまいとする優しい心を持っているようです。
息子の優しい心に私は甘えることにしました。
「そうよ・・お父さんは女になってしまったのよ・・」
息子が何処までSEXのことを知っているのか・・判りませんでしたが、『今更隠して
も、もう如何しょうも無い・・』と考えたのです。だから・・同意をしました。
身も心まで完全に翼様のオンナになっているのですもの、恥ずかしかったのですが本当
のことです。
『悪い父親だ・・』と思っていました。
「翼君に聞いたんだ!『光太のお父さんを「ひかり」って言うオンナにしたんだ・・
僕はひかりを深く愛している・・。ひかりを僕にくれないか・・?』って言われたん
だ・・」
「僕は翼君が好きだから、人を愛するってことは如何云うことだか判らないけど、「
うん・・」と頷痛んだ・・!」
「信じられなかったけれど、今日お父さんに会って、ひかりって言う女になっている
ことが分ったんだ・・」
「ゴメンナサイネ。光太には如何しても言えなくって・・」
「貴方が成長したら、人を好きになることが如何云うことか判ると思うわ・・。わた
し・・翼様が好きになってしまったのよ。もう如何しょうもない・・のよ・・」
そこまで言うと、急に涙が込み上げて来まして顔を覆ってしまいました。
嘘泣きかと思われるかも知れませんが、そうではありません。
息子の同級生を愛してしまって肉体を奪われて、自分がオンナになってしまったこ
とと翼様が私を愛してくれていることが分って、私の女心を締め付けるのです。
でも・・最後の方は息子の光太の同情を得るための演技だったのかも知れません。
(つづく)
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