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小説 舞の楽園 ( 障害者の息子 )

    
         障害者の息子   < 41 >
   クリスマスが近くなった頃のことです。
 日頃目を掛けて下さる施設の皆さんにチョコレートでもお配りしましょうと思いまし
 て、台所でチョコレートを解かしている時です。
 「良い匂いだな・・・チョコレートでも配るのかい・・・?」
 私の背後に立った正人様が聞いて来ました。
 「ええ。こんな物では日頃のお礼にもならないのですけれど・・・施設の皆さんにお
 配りしようと思いまして・・・」
 「良い考えだね・・・」
 私が答えますと、彼は言ってくれています。
 その晩は、何時ものように私を抱いて下さいまして、毎度のことながら天国に連れて
 行って下さった後のことなのです。

  「考えたのだけど・・・」
 全裸の2人は抱擁を解いて、私が彼の分身をお口で綺麗にしている時です。突然、言
い憎そうに正人様は言い出しました。
そんな正人様の言葉を聞いたことが無い私は、思わず砲身を含んでいるお口を離し
て、彼の顔を見てしまったほどです。
「施設の皆にチョコレートを配るのは良い考えだと思うけれど、施設長さんだけは
特別にしたらどうだい・・?施設長さんを今度の土曜日にこの家に招待しようよ!
施設長さんには特別にお世話になっているんだろう・・・?2日早いけれど・・・
クリスマスパーテーをこの家で行うんだ・・・」
私が女になって出勤をした日から(いえ、実際はもっともっと以前からですが・・・)
正人様には施設の出来事を最大漏らさず報告をしております。
 だから、施設長さんの私に対する親切も、正人様はご承知なのです。
 正人様がそうおっしゃるのも判りました。『良い考え方だわ・・・』と思いました。
 そして、彼が私のことを考えて施設長さんを招待することを、嬉しいと云うよりも
 大変有りがたく思ったのです。
私の家庭は私のお給料と市から出る少しばかりの障害者手当だけで生活しており
ますから、精一杯のお持て成しをして、施設長さんに喜んで貰おうと考えました。
   
   それから3日後の土曜日のことです。
 「施設長さん。日頃大変お世話になっておりますから、今週の土曜日に、息子が
 施設長さんをお迎えして、細やかなクリスマスパーティーを開きたいと申してあり
 ますのよ。ご都合はいかがでしょうかしら・・・?」
 正人様のお話になった明くる日、早速施設長さんにお伺いを立てました。もうその
 頃には、女の仕草も身に付いていますし、女の言葉も完璧でした。
 「うんっ、・・・そうかい?じゃぁ・・・楽しみにしているよ・・・」
 施設長さんは快諾してくれたのです。

  当日はお酒も少しばかり出そうと考えておりましたので、施設長さんは車を施設
 の駐車場に置いて、私の軽の助手席に座っております。
 「どうぞ・・・汚いところで恐縮ですけれど・・・お入りになって・・・」
 父親のように思っている施設長さんを我が家に迎え入れました。(続く)
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