小説 舞の楽園 ( 続 万引き )
- 2021/03/25
- 22:50
(続)万引き-5
(3)万子の女装姿
次の週の月曜日から、万子の生活は一変した。
月曜から金曜日までの平日は会社への行き帰りに譲の部屋に寄って、食器や洗
濯物や手早く掃除等を片付けて、土曜日は泊まって行くようになった。
会社では厳格な中間管理職の万も譲の部屋に来ると、完全に女となっていた。
譲は万子の家庭のことを心配しているが、もう万子自身が夢中であり、家に帰
っても万子の居場所は無かったようである。
万子がホームセンターで万引きをして、譲に捕まって犯されてから1ヶ月が
経っていて、寒さも大分緩んだ土曜日のことである。
譲が勤務先のホームセンターから帰ると、万子はまだ馴れていないお化粧を
して、女物の赤い花柄のセーターにエンジのスカートと云う姿で譲をむかえて
いた。
万子は譲の部屋に来るようになってから、女物のパンツやブルゾンを好んで
着ていたが、お化粧やスカート姿は初めてのことだった。
「お帰りなさいませ」
玄関の扉を開けた譲は、ちょっと吃驚した。ウィッグを冠ってミニの短いスカ
―トを履いた万子が玄関に正座をして頭を下げているのだ。ストッキングを履
いていない真っ白な脚が太股まで見えている。
「おう・・万子か・・?」
顔を上げたのを見て思わず辺りを見回して、万子の姿を探してしまったほど
である。
一生懸命練習したのであろう、決して化粧は上手くは無かったが、その細めの
貌のお化粧は万子を十分に若々しく見えさせていた。
今日の土曜日は家を出る時から、お化粧をして完全な女になろうと思っていた。
駅前のスーパーに寄って、恥ずかしかったが安いお化粧品を購入して、譲から
預っている鍵を開けて部屋に入っている。
譲が帰ってくる夜の8時まで時間はタップリとあった。
お風呂を沸かして、全身をキレイに洗って、体中の無駄毛を剃り落としてツル
ツルに輝くようになった。
あまり生えてこない髭も当たり、顔も洗顔液で洗った。
譲の前妻が残して部屋に置いてあるドレッサーの前に座り、「うまくお化粧を
するには・・?」と言う女性週刊誌の綴じ込みを開いた。
「娘の誕生日祝いに・・」と恥ずかしい言い訳をして購入してきた化粧品の
紙袋を破いて化粧品を並べた。
お店で選んでくれた、セットで買ってきたお化粧品は若い女の子向けの化粧品
であり、中年自分には合いそうも無いことが分かったが、もう如何しようもな
かった。それでも、化粧品の名前と用途だけは分かった。
夢中になって塗っては崩し、塗っては崩しているうちに、時計を見ると5時
をちょっと過ぎていたものだ。
急いで洗顔をしてスッピンになると、ブルゾンを着て駅前の薬局へ行った
「これを下さい」
恥ずかしいのを我慢して、女性週刊誌の綴じ込みに書いてあった化粧品をメモ
をした化粧品とウィッグを購入した。その頃には、もう女に化けるのもバレて
もいいと思って開き直っていた。
そしてその薬局で、150cc入りのガラス製の浣腸器と、大きなグリセリン
溶液の瓶も買っている。その大型浣腸器は前から欲しいと思っていたものだ。
薬局の男の店員さんは何かを気付いたようで、ニャッと笑ったような気がした
のは気の回し過ぎだったろうか?
もう、如何となれとの気持ちがついたせいか、恥ずかしさも薄れていた。
ついでに、夕食のオカズを買って、急いで譲のいない部屋に戻った。
今夜の夕食は鍋にする。簡単に夕食の支度をしてから、買ってきた化粧品を
取り出して、お化粧に取り掛かった。
下地クリームをやや厚手に塗って、ドーランを塗って、目には苦労して付け
睫毛をして、アイシャドーを塗る。頬紅を叩いて真っ赤な口紅を付けて、ウ
ィッグを冠って梳かした。
鏡には、見違えるばかりの女の顔が映っている。
ちょっとドギツイ感じがしているが、まあ初めてにしては満足のいくものだ
った。
掛け時計を見ると7時半を廻っている。
万子は大急ぎで丸裸になって購入してきた白いブラジャーを付け、ナイロン
のパンティを履き、これも同色の薄いスリップを着た。
ドレッサーの中には下着姿の女が映っている。ちょっと身体を捻って後ろを
チェックする。
上にはザックリとしたセーターを羽織った。
どうせ、すぐに脱がされるものだとは判っていても、女の衣服を着けると言う
ことはこんなに気分が高揚するものであると言うことを初めて知った。
女になった万子は嬉しくて堪らない。(続く)
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