fc2ブログ

記事一覧

小説 舞の楽園 ( 粕谷整形外科病院 )


    
        粕谷整形外科病院 - < 4 >
  「孝子ちゃん。お知り合いなの・・・?」
固まってしまった孝と圭太を等分に見ながら、ママさんは助け舟を出すように声を掛けて
来た。
ママは大学病院の副院長のいかにも高級そうな洋服を見て、『初めての客であるが良い客
になるっであろう』と経営判断が働いたものであろう。

「孝子と言うのか・・・?」
孝、いや、孝子と呼ばれている女装の男はピクンと身体を震わした。そして、暫くはジッ
と圭太を見たまま答えない。
「そうよ。孝子って言うのよ。宜しくね・・・」
孝子は度胸を決めたようだ。
自分が女に扮してゲイバーに勤めているのは、趣味と実益を兼ねているのだ。粕谷福部長
がこうしてゲイバーに来るのは、同性に興味があるのではないか?
『それと同じではないか・・・』と考えたのだ。
『要するに女装した男が好きだと云うことであろう・・・。それならば、ここでバイトを
していることを口外にはしないであろう・・』と考えたのである。
彼女は開き直ったのか、砕けた口調で言っていた。

 「わたし。ここで・・・アルバイトをしているのよ。副部長先生は良くこう云うお店を
ご利用なさっているのかしら・・・?」
開き直った女は強い、微笑んだ孝子は平然とした調子で言い、逆に聞いて来た。
「うんっ。俺はこう云うところが趣味なんだ。俺はバイで、女装した男の尻を弄るのが
好きなんだ・・・」
後ろで笑いを取っているオカマさんの声を聞き、笑い出している3人のダミ声を聞きなが
ら、圭太は平然と済まして答えている。
流石に孝子は蒼くなったようだ。

 圭太は父親の血を継いでか、女好きであった。このことは誰もが認めていることでもあ
った。
圭太も若い頃は女遊びを散々したものである。それが噂に噂を呼んで、副部長になった今
でも、そう云う噂が独り歩きをしている。
大学病院の前医院長の娘さんを嫁に貰ってからは、女性をコマスこともしてはいないのに、
若い頃の噂は消えないで残っているのだ。
最近の圭太は女性にはチョッカイは出すが、最後の1線だけは越してはいなかった。
結局のところは、奥様がこわいのであろうと思われる。その代わり・・・と言ってな何な
のだが、男に興味が移ったようである。
『男ならば浮気にはならない・・・』と圭太は考えているようだ。『奥様も黙っている・・』
と圭太は思っていた。

  圭太の男の趣味と言えば、華奢で色白で、ちょっとナヨっとしている男の子である。
それは、以前女に興味を抱いていた名残であろう。
もっとも、男の尻に入れたのは1度だけしか無いが・・・その男の子も一見女の子と見え
るような若い男であった。(続く)
 
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

舞

Author:舞
FC2ブログへようこそ!