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小説 舞の楽園 ( 或る人生 )


          或る人生     < 9 >
   「あっ・・秘書の方が・・うんっ・・見えてしまいますぅ・・」
 6帖1間の今までの下宿と比べて、お部屋の立派さに呆然と立ち竦んでいるわたくしは
 いきなり唇を奪われて避ける暇もございません・・でした。
「林は口が裂けても・・口外はしないよ。これからはわしに用事だできたら、この林に連絡
 を取るといい・・。林が悪いようにはせんから・・」
「貞子さん。宜しくお願いいたします・・」
会長さんとの接吻を見られてしまった恥ずかしさから、そっと林さんの方を見ますと。
大男で熊のような身体をした林さんが頭を深々と下げておりました。
「わたくしの方こそ・・・宜しくお願いいたします・・」
ますます恥ずかしくなりまして、消え入るような声で挨拶をしたことを覚えています。
「それじゃぁ・・わしは行くよ・・!貞子はその身体では不自由だろうから・・林を置
いて行く・・、夜また来るから・・今夜は女としてわしを迎えてくれ!」
「いいか・・?林。判っているな・・!」
そうおっしゃって会長さんは会社に戻られたのでございます。

  それから・・夜までの間、女に生まれ変わるいろいろなことを、林さんに教えて
頂きました。
だって・・林さんは会長さんの命を受けまして、わたくしのお世話をするためにここ
にいらっしゃるのですもの・・恥ずかしかったのですが、お願いをいたしました。
まず・・足のギブスを取って頂きました。
足のギブスは退院をする前々日に病院で抜糸の時に、前後2つに分けられて、包帯で
巻かれていました。その包帯を取れば2枚に分けられます。
立って裸足で片足を突きますと、まだ骨の部分と思われますがちょっと痛みが走り
ます。

 「恥ずかしい・・林さんソファーに座っていて下さい。自分で出来ますから・・」
わたくしは林さんにシャツとパンツを脱がされて、丸裸にさせられてしまいまして
そう叫んでおりました。
「わたしが会長に怒られてしまいます。どうか・・貞子さんは何もしないで下さい!
なにもかも・・わたしに任せて頂きたいのです・・」
そう言うと、ズボンを捲り上げて靴下を脱いで、ワイシャツも脱いでランニング姿
になりまして、丸裸のわたくしを軽々と横抱きに抱え上げたのです。
今で言うお姫様ダッコという姿勢です。
そして・・浴室へ連れて行かれて、まだ自由の効かないわたくしの身体を隅々まで
洗ってくれました。

 今だから申し上げられますが・・林さんは本当に熊のような大男で、捲り上げた
脛もランニングから出ている腕も、腋や背中までも真っ黒で長い剛毛が生えてお
ります。
非情に男性的な身体なんです。
わたくしは密かに恋心を芽生えさせたものです。

 えっ・・「それで、熊さんとは何も無かったのか・・?」ですか・・?
何もありませんよぅ・・その時は・・ただちょっと・・後でお話をさせて頂きます
ことよ・・・(つづく)

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