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小説 舞の楽園 ( 或る人生 )


          或る人生     < 29 >
   その頃のわたくしは、奥様をお亡くしになった会長さんのために、夕食を作ってお     
 りましたのよ・・
 度々近所にありますスーパーやデパート等へ女性の姿で1人でお買い物をしておりまし
た。でも・・流石に女の園へ入るのは不安でございました。
 「大学へは行っといた方が良い・・よ。勉強をしなさい・・!」
 しかし、会長さんがそうおっしゃるので、ご厚意に甘えることにしたのでございます。

  そして・・次の年の4月に女子短大に入学したのです。
 そこでは元男として見破られることもなく、楽しい日々を過ごしましたのよ・・
 2年で卒業いたしましたが、旅行などの時は見破られるのではないかとヒヤヒヤした
 こともございましたが、無事に卒業したのでございます・
 頭が悪いなりにお勉強も一生懸命しまして、大学へ行って良かったと思っております
 わ・・
 その時にお付き合いを頂いた友人とは、今でもお付き合いをしておりますのよ。彼女
 達の大半はわたくしが男であったことなど知らないと思います。

  無事に女子短大を卒業いたしました。
 女子大にも行ったことですし、普通の女の子の生活に憧れを持ってしまったのです。
 わたくしは普通の女の子として、会社にお勤めがしたくて仕方がのです。
 そこで・・会長さんにお伺いを立てたのです。勿論、ベッドでの営みが終わって、
 2人でユックリと寛いでいる時でございました。
 「会社に勤めたいのか・・?社会勉強にもなるだろう・・よし、わしの会社に入れて
 やろう・・!」 
 会長さんは快諾して下さったのでございますよ。
 そして・・その年の4月から女子社員として、島田貞子としまして、会長さんの商事
 会社に就職をしたのでございます。
 会社は大手町のございまして、わたくしは本社の総務課に勤務しておりました。、
 会社の中では・・過去のわたくしを知っていらっしゃるのは、会長さんと会長秘書の
 林さんだけでございまして、わたくしの身体の秘密は完全に守られておりました。

  余談でございますが・・その当時のわたくしは男性社員達によくモテタ方だと思い
 ますのよ・・
 わたくしの楚々とした風情がとっても女らしく見えて、皆様を引き付けたのでは無い
 か・・と思っておりますのよ・・
 ビルの廊下を歩いておりますと、男性社員の方が話かけて来ましてデートに誘われた
 ことも何度かございますのよ。
 だけど・・わたくしは会長さんのものでございますので・・アフター5は真っすぐに
 マンションに帰っていたのでございます。

  えっ・・「何故なんだ・・?モッタイナイことをしたもんだなあ・・」ですって・
・・?
当時のわたくしは純情そのものでございましたから・・それに・・男性が怖かったの
でございます。 
それに・・わたくしは会長さんのオンナでございましたから・・会長さんを心から
敬愛申し上げておりましたから・・
本当のことを申しますと・・男性であることがバレてしまうことが怖かったのでござ
います。でも・・デートに誘って下さる男性の中には、わたくしも好意を抱いている
男性もいらっしゃいましたのよ。
でも・・その頃は会長さんが唯一の男性でございました。(つづく)





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