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小説 舞の楽園 ( 山小屋での出会い )


    
         山本小屋での出会い  <  1  >

        < 彼との出会い >
   若い頃より山歩きが、私の趣味なんです。
 学生時代は冬山や沢登りなど本格的な登山をしたものですが、今はそんな危険なこと
 はいたしません。もっぱら、尾根歩きを楽しんでおります。
 今から40~50年も前は登山ブームもありまして、若い人が沢登りや岩登りに大勢
 トライしていたものですが、今は遊びも多角化したためでしょうか、山に登ると50
 代の私ぐらいの人達が主流になっています。
 ちょっと寂しい気がいたします。

  私の勤めている会社でも、山登りやハイキングなどと云ったことをする人達はいな
 くなってしまって、現在は私独りで関東地方の低山を歩いております。
 連休の初日のことです。
 私の会社も連休ですので、久しぶりの泊りがけの山行に出かけました。
 その日は良いお天気でして、電車の駅から麓までのバスも中高年の登山客で混んで
おりました。
私は9時頃に登り始めまして、単独行なのでゆっくりと歩いて目的の山小屋には3時
半頃到着したのです。
もう私の年ですと無理は禁物ですので、絶対に危険なことはいたしません。

 普段は空いている山小屋も連休と云うこともありまして満員でした。夕食も3回に
分けての食事です。
暗くなる時間にはまだ間がありますので、辺りを写真に撮りながら散策して、1番後
の組で食事を摂ったのです。

 その時に私の隣に座ったのが、私よりも4~5歳ぐらい若い40代半ばと見えます
彼だったのです。
私が夕食を食べ始めようかとしていると、178cmはあろうかと思えるガッチリと
した大男が隣に座ろうとしています。
「失礼しますよ・・」
「あっ。どうぞ・・」
 山仲間の気安さでしょう「どうも・・」と言って椅子をズラシテ座った彼の顔を
見ました。
日焼けした顔に太い意思の強そうな眉をして、男らしい貌の彼でした。優しそうな目
が印象的でした。

 普段の私ならば、一見して好きになるような彼の顔でしたが、ウケでネコの私とし
ましては、山にでお会いした男の人を好きになったことは無いのです。
だって・・学生時代から山に登っていまして、『山は新鮮なものだ。そう云う世俗的
なものは持ち込んではいけない・・』と云う信仰見たいなものが、私にはあったの
です。
ですからその時も・・彼の顔を見ても『好ましい顔をした男の人だなあ・・』とは
思いましたが『、好きになる』と云うことはありませんでした。(つづく)
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