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小説 舞の楽園 ( 山小屋での出会い )


     
         山本小屋での出会い  <  4  >
   その夜はシュラーフを持って私の隣に来た彼と並んで寝たのです。
 山小屋は混雑していまして、足の踏み場もない状態でして、並んで寝ている彼の身体が
 シュラーフ越しに当たっているのです。
 隣に寝ている彼の肉体が気になって、私は暫くは眠ることが出来ませんでした。
 『ここの山小屋から尾根伝いに縦走する予定だったけれども、どうせ単独行でもあるし
明日は彼に従って下山しょうかしら・・』と考えながら眠りに付いたのです。
どうせ・・何もないんでしょう・・けれど、私の中の女になりたい気持が膨らんで来ま
した。

      < 酔って・・ >
  前日はあんなに晴れていたのに、次の日はベッタリと曇っておりまして、今にも雨
が降りそうな天候です。天気予報は『晴れ』と言っていたようですが・・
朝食を彼と一緒に食べた私は、尾根を歩いて別の山小屋にもう一泊する予定を変更して
彼に就いて山を下りることにしたのです。
無理をしないのが私の流儀です。
それに・・これは内緒の話ですが、何時しか好きになってしまった彼と少しでも永く居
たかったからです。
「わたしは縦走する積りでしたが、天候が優れないので、貴男と一緒に下りたいと思い
ます。連れて行って下さい」
朝食の時にそうお願いしていました。

 山を下りて、バスに乗って駅に着いたところでは、大分予定より早かったのです。
それはそうですね。縦走する予定が1本近い尾根を下りてしまったのですから・・
そこで、遅い昼食にしたのです。食堂に入ってビールを飲みました。
私はコップ半分ほどで顔が赤く染まってしまいますが、彼は飲むと饒舌になるようです。
意気投合しました。

 彼は東京の下町に住んでいますところは区こそ異なっておりますが、彼の住宅とは近
いのです。電車で1駅なんです。
彼が降りる駅が近づいて来ますと「もっと飲もうよ・・。家は来ないか?」と誘うので
す。
「今度。お邪魔します・・」と断っておりました。

  それから5日後のことです。彼の携帯から私の携帯に電話がありました。
「勤務が終わったら飲もうよ・・駅まで迎えに行く・・」と云うお誘いの電話でした。
彼の家へお邪魔することになったのです。
加工品の工場が一緒になった彼の家へ行くと、「女房が死んでおもてなしが出来ない・・」
と言って、近所にある飲み屋さんに連れて行ってくれました。(つづく)







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