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小説 舞の楽園 ( 山小屋での出会い )


    
         山本小屋での出会い  <  6  >
   若い頃ならいざ知らず、50に手が届く緩んだ私の肉体を包むピンクの若い女の子
 のような下着を、彼は見て何と思ったことでしょう・・
 そう考えると、彼の顔を見られませんでした。
 どうして、昨日彼からの電話を貰った後、家へ帰って着替えて来なかったのか・・と悔
 やまれてなりません。
 慌てて薄い詰め物をしたブラを確かめますと、ブラは後ろのホックが外されています。
 苦しいと思って彼が外してくれたのに相違ありません。
 私は真っ赤になっています。

  ソォ~ッとベッドを下りるようとしますと、その気配で彼が目を覚ましたのです。
 目を開いた彼は私を見つけるとニッコリ微笑んで、「おはよう・・」と言っています。
 彼に女物の下着姿を見られてしまった私は心臓がパクパクしまして、恥ずかしくって耐
 まりません。しかし・・意外なことには、私の下着女装については一切触れないので
 す。
 きっと・・昨夜衣服を脱がしてくれている時に『明日の朝は女物の下着の件には触れな
 いでやろう・・』と思ったに違いありません。
 「おはようございます・・」
 その態度に感謝をしなが、丁寧な言葉を使って返事をしたのです。
 もし・・「下着女装をしているのか・・?変な趣味だな・・」と言われたらば、私は
 答えることさえ出来なかったに違いありません。
 私の女装については無視をする態度に出た彼には感謝感謝です。
 酔いも何処かへ行ってしまっておりました。

紅くなっている私よりも一足先に、彼がベッドをおりました。
 彼は毛深い身体をしております。白いブリーフから剥き出された脚には黒い剛毛がビッ
シリと生えていました。そしてランニングからは胸毛と腋毛が盛り上がっています。
 山で会った時は、身体を覆う長袖シャツとズボンを着ていたので判らなかったのです。

  それに引き換え、私の白い肉体には毛と云うものはほどんと生えていないのです。
 胸毛等は望むべきもありませんし、脚の毛も薄く腋の下の毛もチョロチョロと生えて
 いるに過ぎません。
今は女装をするに当たって、毛が無い方がスッキリしますので剃っております・・
恥毛も細い毛がショボショボと生えているに過ぎません。要するに、肌が白いことも
あって女見たいな身体なんです。
若いころはそうでもありませんでしたが、この肌故に『女になりたい人・・』と考えて
おりました。
しかし・・もうこの年齢では、私の理想は儚い夢に終わるものと思っておりました。
 (つづく)












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