小説 舞の楽園 ( 部長は俺の恋女房 )
- 2021/09/02
- 23:29
部長は俺の恋女房 { 1 }
俺の会社は1部にも上場されている旅行代理店だ。
俺も四国の或る地方都市の営業所で課長代理を勤めている。課長代理と言っても名刺
上のことで部下はいない。
営業所にには俺の他にも多勢いるんだ。
3年ちょっと前までは、俺も名古屋にある保険会社に勤めていたが、上司の女とちょ
っとしたトラブルを興してしまって保険会社を退職して、今の旅行代理店に入ったん
だ。
それだから・・まだ平と同じなんだ。
俺の勤務している営業所は全国の営業所としても小さな方で、上司は営業所長と部
長、それに課長がいる。
会社の方針で営業所長と部長は本社からの派遣されて来ていて、課長以下の職員は全
員現地採用となっている。
俺の直属の上司の部長が中国地方の営業所長に栄転して、本社の課長だった人が営業
所の営業部長として来ることになった。
< 俺の幸運 >
新部長は夏木玲と言う名前だ。
辞令を持って営業所に来た新部長が営業所長に紹介されている。
夏木新部長はチョット小柄で、小太りで色が白い。目が大きくって、笑うと笑窪が出
来る。
いかにも営業畑を歩んで来た人間らしく、人当たりの良さそうな人物だった。
年齢は課長から部長になるくらいだから、40代中頃と言ったところである。
俺の第一印象は、頭の後ろが幾らか薄くなっていることを除けば、何処がとは言えな
いのだが、田舎にいるお袋に似ている。
小柄で色が白い所為か、何処となく女性的雰囲気を持っている・・と俺は感じた。
元居た部長は、隣の県に実家があったようで、車を自分で運転して通勤していた。
新部長は家族を東京に置いて単身赴任で、アパートを借りて独りでそこに住むと
聞いていた。
新部長の赴任の挨拶の日に、「新部長が赴任してくる前に新しいアパートを探して
置いてくれ・・」課長が俺に命令した。
普段は課長の傍には絶対に行かないのだが、その時は偶然に課長の隣の席しか空いて
いなかったのでそこに座った。
俺の幸運の始まりだったのだ・・
そりゃ・・初めは俺の不運(・・だと思ったんだ)を呪ったよ。
だって、新部長の部屋を見つけてやっても、特別に俺の給料が上がるという見込み
無いのだもの・・
しかし、命令は命令だ。俺は3~4件の物件を見繕って課長のところに持って行っ
たんだ・・(つづく)
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