部長は俺の恋女房 { 2 }
「この物件がいいんじゃないか・・?」
物件の1つを手に取って課長は言った。
その物件は、近くにホームセンターやスーパーがあるけれども、駅までは4km近く
もある。車の運転が出来れば問題が無い物件であった。むしろ・・優良物件だ。
新しくって、6帖の板敷もついているし、7・5帖とも言える部屋に大きめのDKが
付いている。
小さいながら庭も付いている。
明るく陽の差し込む住宅は部長1人で住むにはちょっと広すぎるかな・・と思ったよ
うな物件だった。
夏木部長はペーパードライバーだと辞令を持って来た時に、自分で言っていた。
免許証を取るには取ったが、何十年も車を運転したことが無い・・らしい。『勿体無
いな・・』と俺はその時に思ったんだ・・
「車の運転が出来ないんじゃ・・」
「なんだ・・!じゃぁお前が車に乗せてくれば、問題はないんじゃないか・・。よ
し・・これに決めよう!」
俺が難色を示すように言いかけると、課長はそう言ってその物件に決めてしまった。
事実俺は車で通勤しているし、また悪いことに(その時はそう思ったのだが・・、
幸運はその時から始まっていた)そのアパートから俺の住むアパートまで、車で10
分も掛からないところに、アパートを借りていたんだ・・
こうして・・何時の間にか、直属の上司である夏木部長の運転手になってしまって
いた。
俺は当然にムクレタさ・・。命令した課長の鈍重さを呪ったさ。
結局のところ、この運転業務が俺を幸せな男にしてくれたのだが、その時にはそんな
ことは俺の頭に浮かばなかったんだ・・
あっ・・俺?。俺は望月満。32歳。勿論チョンが―さ・・。
名古屋で保険会社のサラリーマンだったことは、言ったよね。
上司の40ちょっと過ぎの、ちょっぴりハクいタカピーな女の課長にチョッカイを出
して、いや出させられてしまったのだ。
切っ掛けは・・いや、止めて置こう。この物語とは関係がないんで・・
兎に角、俺はその保険会社を辞めたんだ・・。最初はその上司のクソアマが俺にモー
ションを掛けて来たのに・・だよ。
俺は元から、年上の女には弱いんだ。その上司の女だって40を越していなければ、
手を出さなかった・・と思うんだ。(つづく)
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