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小説 舞の楽園 ( 部長は俺の恋女房 )


 
部長は俺の恋女房   { 39 }
   玲子の話によると・・
 先方は奥さんと、義父と義母がその話し合いに来るらしい。玲子は奥さんとは会いたくも
 ないようだが、義父と義母にはもっと会いたくはないらしい・・。
 玲子にとっては義父と義母は怖い人らしいのだ。
 それでも・・その話し合いには出ない訳には行かないようである。
 「俺も出てやるよ・・」
 再びその紙にそう書いてやっている。
 俺は決心したのだ・・玲子のためにその東京での話し合いに俺も出てやる・・ことをだ。
 俺の今月の休日は金曜日なのだ。同僚に土・日のどちらかを交換して貰ってやれば、木・
 金と取れるはずだ・・『そうすれば東京に行くことは可能だ・・』と考えたのだ・・
 「『親戚の者が出席することにした』と弁護士に伝えてくれ・・!」
 「『相手も複数で来るのだから、こちらも複数で行く・・』と言ってやれよ・・!」
 俺は言っていた。
 玲子の顔には俺への感謝の気持ちと、俺が言ったことの安堵の血の色が戻っていた。
 余程心細かったのであろう・・俺は思っていた。
 
   「部長。お電話ですが・・」
その時に事務の女の子が会議室に顔を出してそう言っている。
「じゃぁ・・そう言うことで、決めますから・・」
書類を纏めながら俺は大声でいっている。
「んっ・・宜しくお願いします」
「はい・・」
玲子は何時もの部長の顔に戻って立ち上がった。俺も営業の顔になっている。

     < 弁護士事務所 >
 3日後の朝、大きなボストンバッグを持った玲子と俺は飛行機で羽田空港に向かって
いる。無論、玲子は背広を着て男の姿である。
玲子がインタネットで航空券を取り、俺は便乗しただけである・・。
『次に飛行機に乗る時には、女装させた玲子を隣の席に座らせたらば、どんなに素敵だ
ろう・・』と俺は考えている。
この上司である男を、否、玲子を妻として新婚旅行なんて洒落込むのも、乙なものであ
る・・と思っていたのだ。

 羽田からは浜松町の駅から徒歩で5分くらいのところにある相手の弁護士事務所に
直行した。
相手の3人とこちらの弁護士は既に到着をしていた。
11時に話し合いは始まった。
相手は3人で、奥さんは女としては背が高く大柄で、ちょっと太り気味の中年女だが
妙に色気がある。睦子と同い年だとは思えなかった。
玲子の離婚の話を聞いていなければ、ちょっとチョッカイをだそう・・かと思われる
ような女だった。俺は小生意気な、ちょっと太り気味の女に魅力を感じることが有る
のだ・・

 義母は背は高いが痩せたお婆さんで、如何にも意地が悪そうな感じがした。
義父はこれも背が高く、中肉のお爺さんである。ピーンと姿勢はいいが、何を考えて
いるのか解らないような人物であった。
この3人と相手方の弁護士。これも太った嫌味な奴である。
こちらは若い・・と言っても俺よりも年上と思われるが・・弁護士と、当然今は男の
姿をして背広を着ている玲子と俺である。
相手方に圧倒されないように俺は胸を張った。
俺は玲子の親戚の者として紹介された。玲子は義父と義母が怖いのか、普段の部長の
玲子には似つかなくオドオドとしているようだ。
『就いて来てやって・・良かったな・・』と俺は心底思った。(つづく)

















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コメント

No title

これはこれでどうなるんだろうか。
離婚は調停で終わりそうな雰囲気にもなりそうですが。
どっちが悪いって話にもなりにくそうで微妙ですよね。
弁護士とかそういう話にもなって、
非常に面白い展開になってますね。

LandM様

 離婚はどちらが悪いと云うことはなさそうです。
でも、こちらは離婚をしたいと望んでいます。
結局離婚をしますが、家を追い出されてしまいます。
それからです。第2の人生は・・

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