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小説 舞の楽園 ( 部長は俺の恋女房 )


 
部長は俺の恋女房   { 40 }
   相手の弁護士は簡単な紹介の後は黙って座っている。如何にも老練と云う感じであ
 る。
 奥さんと義母はキンキン声で玲子の悪口を言い始めた。30分も一方的に悪口を言った
 ところで、俺は重むろに一言言ってやった。
 「奥さん。それで・・相手の男とは別れられるのかよ・・?」
 奥さんと義母とは顔を見合わせて黙ってしまった。今まで黙って腕組みをしていた俺の
 迫力に押されたように・・だ。
 玲子は勿論のこと、当方の弁護士もホッとした顔をしている。当方の弁護士は如何にも
 離婚調停には慣れていない・・感じである。

  結局のところ、玲子は身1つで家を出る・・と云うことで離婚は成立した。
 相手は何かしら玲子から取れると思っていたようで不満そうな表情をしていたが、玲子
 の方は離婚したがってしまっている。
 その代わりと言っちゃ何なのだが、身1つで家を追い出されてしまったのだ・・
 話し合いは2時間弱で終わった。

  「あなたに出席して頂いて・・助かったわ。わたし1人じゃぁ・・如何なったのか
 判らなかった・・わ。ありがとうございました」
 浜松町の駅前の高級お蕎麦屋で当方の弁護士と共に、今後の簡単な打ち合わせをして、
 昼食を食べた後に、弁護士と別れた後に玲子は上品な女言葉で礼を言っていた。
 俺は玲子の為になれたことが嬉しかった。


       < 1泊の女装旅行 >
  「これから如何します・・?明日はお休みを取っていらっしゃるのでしょう?」
 「うん。何処かへ行こうよ・・!何処か1泊で旅行にでも行こうよ・・」
 実際は男姿であるが、離婚も成立して心の中はもう完全に女になっている玲子に俺は
 提案した。
 「えっ・・いいんですか?嬉しいわ・・連れて行って下さるなら、何処でもいいわ・・」
 玲子の表情がパッと明るくなった。弁護士事務所に居た玲子とは、同一人物だとはと
 ても思えないほどの変身ぶりである。俺は思わず笑ってしまった。
 玲子は恥ずかしがってちょっとスネていたのが、年上の男だとは思えない。可愛い俺の
 オンナだった。

  「そうだな・・レンタカーでも借りて、箱根か熱海でも行こうか・・?」
 俺は四国生まれで、名古屋までしか来たことがなかった。箱根や熱海には縁が無い。
 レンタカーを借りて行くことにしたのだ・・
 俺が駅前のレンタカーを借りている間に、玲子は駅のコインロッカーに預けていた
 ボストンバッグを受け取りに行っている。
 「それには・・何が入っているのだい・・?」
 カーナビを芦ノ湖にセットをして、出発して直ぐに玲子に聞いている。
 本社に持参する書類が入っているものだと思っていたが、玲子は本社には寄る気配は
 無い。さっきから気になっていたのだ・・(つづく)












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コメント

No title

心が離れると離婚は必然ですからね。
離れる婚と書いて離婚とは言葉は上手いものですね。
どのみち、こういう結果になるんでしょうけど。
一度は愛し合った仲でも別れがある。。。
そして、新たな愛がある。
それが人生ってものですね。

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