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小説 舞の楽園 ( 秘密の場所 { 雄犬の彼氏 } )


         秘密の場所(雄犬の彼氏) -2
   (2)爪切り
 全裸の僕はジョーを抱いて洗ってやりながら恥ずかしそうに言っていたので
す。だって、ジョーは短い尾をピンと立てて、スクッと立って凛々しいのです。
その時、僕は自分の身体を洗いませんでした。身体を洗ってしまうと、僕の匂いが消
えてしまうように思ったのです。

 「ジョー。爪が伸びているんじゃないの?」
脚を洗っていると、ジョーの前足の爪が伸びているのに気付きました。
そう云えば、前に飼っていた犬も爪を切ってやったことがあるのに気付いたの
です。
この家の人達は僕ほど飼い犬には注意が向かないようで、爪を切ってやること
なんかは絶対にしないのです。

 「待っていろよ・・・」
僕は言い置いて浴室を出て濡れた身体を拭かずに居間に行き、爪切りを持って
来たのです。
その間2~3分くらいだと思うのですが、身体を拭かずに歩き回っていたので、
身体が冷えてしまったのです。

 「寒い・・・」
浴室の扉を開くと、ジョーは心配そうにこちらを向いて立っていました。
「寒いよ~、ジョー。お風呂に入ろうよ・・」
そう言うと、僕はジョーを抱きかかえて浴槽に飛び込んだのです。
本来、犬は水が苦手なのか、ジョーもあまりお湯の中には入りたがらないので
すが、ジョーもその時は濡れた身体が寒かったのでしょう。
肩までお湯に漬かっていると、ペロペロと長い舌で僕の顔を舐めてくれていま
す。

 僕が素っ裸で居間まで行って爪切りを取って来たことに対して、「ご苦労さん
」とでも言いたげな様子なのです。
暫く僕の顔を嘗め回していたジョーはお湯の中で熱くなったのか、浴槽を飛び
出して行きました。
「アッ、冷たい・・・」
見ていると、僕の目の前50cmくらいのところで、大きく息張ってから全身
をブルブルブルって激しく振っています。
僕の顔にジョーの身体に付いた水滴が飛び散って、僕は悲鳴を上げました。
(続く)
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