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小説 舞の楽園 ( 大人のオモチャ屋で・・)


     大人のオモチャ屋で・・-1
(1)京ちゃんにつれられて・・
ソープランド、ファションマッサージ、ピンクサロン、ヌード劇場、テレクラ
等がひしめき合っている繁華街。中でも酷くいかがわしそうな地区にその店は
ありました。
通行人と云えば、好色そうで物欲しげな目をした若い男やキョロキョロとそん
な建物や看板に眸をやっている中年男か、この地区の後ろ側にあるホテル街へ
と急ぐアベックばかりなんです。
そんな中をわたしは京ちゃんに連れられて歩いていました。
そのお店が近ずくにつれて、わたしの歩行は次第にノロノロとした運びに遅く
なっています。
「どうしたの。早く行きましょうよ」足踏みをしかねないわたしのお尻を叩く
ようにして、京ちゃんが言いました。
京ちゃんは普段は男言葉を話すのでしょうけれど、わたしと過ごす時はいつも
女言葉なんです。
「イ、イヤッ。や、やっぱり・・行けないわ・・」
その店の看板を目にすると、わたしは立ち止まってしまいました。
老いを隠すためにも少々厚く化粧した顔が、羞恥のために上気しているのが
分かります。
看板は黄色地に赤い文字で“大人のオモチャ”と乱雑に書いてあります。
その乱雑さがいやが上にもいかがわしさを匂わせて、わたしには羞恥と同時
に妙な猥雑感を覚えています。
看板の周りには紫色の小電球がデコレーションされていて、暗闇にひときわ
目立つのです。
「綾。入るのよ!」
京ちゃんは男の声でいいました。
いつもはわたしに鼻にかかった猫なで声で我がまま放だいを言い、猫が鼠を
いたぶるがごとく嬲る京ちゃんとしては珍しいことです。
「新しいバイブ、欲しくはないの?」
京ちゃんは入り渋るわたしの剥き出しの肩を抱いて呟きました。
微かに声が震えています。やはり京ちゃんも興奮しているのでしょう。
「バイブなら・・・あるじゃない・・」
わたしは今から起こるであろう恥ずかしい出来事を想像して、抗議の意味も
込めて、小さい声で答えました。(続く)
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