小説 舞の楽園 ( 秘書の遍歴 )
- 2022/02/02
- 23:55
秘 書 の 遍 歴 - < 20 >
花蓮に到着しますと、工場の方が3人私達を迎えに来ていました。
3人共作業服を着ていまして、いかにも工場の人と言った感じです。
車は2台でして、2人が運転をいたします。
1台に工場長と思われる方が助手席に乗り、商社の方と私達は後部座席です。私は真ん中に
座りました。
座る時にもチラッとですが、私のズボンのお尻に社長の手が触れたような感じがしています。
私は声を上げることも無論出来ません。
座りましてから社長のお顔を伺いますと、知らん顔をされています。
普段は謹厳なお顔をされていますのに、社長は相当にオチャメな方のようです。
花蓮に着く前にちょっと早いのですが、お昼にいたしました。
車が乗り入れたところは花蓮でも1番の料亭らしいのです。
お店の方に案内をしていただいて、円卓を囲んで台湾料理を頂きました。
円卓と云うものは良いものですね・・身分の上下の隔たりが無くなるものですね・・
台湾の商社の方も工場長らしき方も気を使ってか、私の前にも料理を分けて取ってくれてい
ます。
その商社の方は台湾の方で50代だと思うのですが、片言ながら日本語が喋ります。でも
ところどころで変な日本語を喋るのです。
台湾の人達は日本には親近感を持っているそうです。
戦前の50年くらいの間、日本の統治が続いていた日時があったので、反日だと思っていま
したが、反中国なのだそうです。
大陸を追われた蒋介石の軍が入って来て、台湾の人達は迫害されていたそうです。そこで
反大陸なのです。
日本の人達は良いことをしたようで、私の知らない名前の人も沢山出て来ました。皆、英雄
なんだそうです。
台湾の人達は大陸の人達を本土の人と呼んでいます。そして、本土の人よりも日本の人の
方が好きなようです。
とても親日的なんです。
それから1つ気が付いたことがございます。
台湾では漢字の看板が非常に多いと云うことです。
それも日本のように簡略化されている字ではありません。旧字なのです。例えば、学と云う
字は學と書かれるようにです。そう云う字ばかりなのです。
看板を見ると、何を売ってお店なのか大体のところが判るのです。
漢字を見ると心が安すまります。
こんなこともありました。
その夜のことでした。
工場の方の運転でホテルに行く途中に、突然社長が車を停められたのです。そして、薬局
の看板があります個人のお店のところに入って行かれたのです。
本来ならば、秘書の私がお店に行かなければならないところを、ご自分で行かれたのです。
後で知ったのですが、社長は膏薬とイチジク浣腸器を購入してこられたのです。
「『膏薬といイチジク浣腸をくれ!』と言ったら、あの薬局のお婆さんには日本語が通じた
よ・・」
「そして、『台湾の料理は旨いからね‥』と笑っているのだよ・・」
その番にホテルの一室で、社長は私を抱いた後に、笑いながらそう申すのです。(つづく)
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