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小説 舞の楽園 ( 秘書の遍歴 )


 

秘 書 の 遍 歴 - < 33 >

   恐縮して緊張しています私の前にコーヒーが出されました。
 「主人は・・強いのでしょう・・?」
 私の前に座った途端の奥様の第1声です。
上品な奥様からそのような言葉が発せられるとは思ってもいなかった私は吃驚してしまい
 ました。
 旦那様を盗むような結果になってしまったことを謝ろうと思っていましたことも忘れて、
 赫くなりまして唯頷くだけです。

  「わたくし・・ね。夜の生活が苦痛なのよ・・だって、痛くって耐まらないのですも
 の・・」
 「それでね。むこう7~8年ぐらいは・・主人を受け入れていないのよ」
 奥様は行き成り、ご夫婦の夜の営みについて語り始めました。
 こんな上品な奥様がご夫婦の夜の私生活について語るなどとは思ってもいなかった私は、
 「スミマセン」と何故か頭を下げていました。
 「わたくしとの夜の生活が無くなってからだと思うけれど・・あの人は我慢が出来なか
 ったのではないかしら・・外で女を抱くようになった・・と思うわ。仕方がないと諦め
 ていたのよ・・」
 ちょっと寂しそうに語る奥様のお顔を見られずに、私は自分の膝の上に置いた白い手
 ばかりを見詰めておりました。

  「『今度秘書を雇うことにした・・』とあの人が言った時には、てっきり女性の秘書
 を雇ったとばっかり思ったわよ・・。そして、あなたが来たときは吃驚したわ・・!
 男性だから、安心したのも事実よ・・!」
 「さあ・・コーヒーを飲んで!・・コーヒーは嫌いだったかしら・・?」
 俯いて小さな声で謝ってばかりいます私に同情したのか、奥様はコーヒーを勧めてくれ
 ております。

  「頂きます・・わ」
 小声で言って、初めて顔を上げまして奥様のお顔を拝見しました。
 そのお顔は、何か吹っ切れるような笑顔でした。でも・・心なしか寂しげな影も見ら
 れたようでした。
 「仲良くしましょうよ・・清子さん!それが・・あの人の意志だと思うのよ・・」
 奥様はそう申して、右手を差し出したのです。
 奥様のそのお言葉に・・そして、フランクな態度に、私は感銘を受けたのです。
 『有難いわ・・』と思いました。・・と同時に、ご夫妻の愛情の深さを知ったのです。
 『この私の肉体は奪われたにしても、社長に対する奥様の愛情までは盗めないわ・・』
 と思ったのです。
 それは・・女としては非常に悲しいことですが、そう決心したのです。

  奥様の差し出された右手を押し抱くように両手を添えておりました。
 何故か涙が出て来まして、声も無く頷いていました。
 奥様の手は熱かったのだけは、はっきりと覚えております。

  それから・・いろいろとお話を致しました。
 普段は社長夫人として会社の皆さんに接しています奥様は、見かけによらずフランク
 で優しい方のようです。
 お家では、社長を尻に曳いているようです。
 奥様は、ご主人を盗ってしまう形になった私に対して敵意を持っていないようで、私
 は安心すると同時に、この可愛らしい奥様が好きになってしまいました。(つづく)








 
 
























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コメント

No title

あ~~なかなか難しい問題ですよね。
夫婦って愛し合っているのが普通だと思いますし、
信頼関係っていうのもあると思うんですけど。
それと夜の営みは別って感じもあるし。
奥様も悩んでいらっしゃったんですね。。。
その場合のストレス発散をどこに持っていくか。
難しい問題ですよね。

難しい問題ですね。

いつもお読みいただいてありがとうございます。
夫婦は愛し合っていると思いますが、それだjけでしょうか?夜の営みは別だと思うのです。
夫婦お互いにストレスを発散しないといけないと思うのです。
LandM様の小説も読んでいるのですが、なかなかの大作。読み切れません。

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