小説 舞の楽園 ( 図書士の恋 )
- 2022/03/06
- 23:28
図書士の恋 - ( 1 )-2
「あっ・・あなたは何時も土曜日にいらっしゃる・・」
「やぁ・・覚えていてくれたのですね・・!嬉しいな・・」
思わず私が口にすると、彼は爽やかな笑顔を作っています。彼の笑顔は初めて見まし
たが、笑うと笑窪が出来て親近感が湧くような笑顔でした。
いえ・・決して、普段の顔が不細工で取っ付き難い顔をしている訳ではありません。
寧ろ眉が太くって目が細くって、男性的でハンサムなのです。
ハンサムと云う言葉はもう死語ですか・・?今はイケメンと云うのですか・・?
「ちょっと調べたいことがありまして・・でも、間に合って良かった!8時まで
でしょう・・?」
「閉館は8時ですが・・いですよ!ただし、表の照明は落とさせて頂きますが・・」
「わたしはこの後、何も予定がありませんから・・ごゆっくりなさっても結構です」
「悪いですね!それじゃぁ・・失礼します・・!」
大して悪いとは思っていなそうな明るい口調で言うと、彼は本棚の並んだ棚の方へ
移動し、私は又本の整理点検を始めました。
それでも、{ きちんよした挨拶の出来る人なんだな・・}と思って悪い気持ちは
していませんでした。
最近の若い人は「どうも・・」とか何とか言ってお終いにする人が多いようです。
(つづく)
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