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小説 舞の楽園 ( 図書士の恋 )


 

図書士の恋 - ( 6 )
 「如何かなさったのですか・・」
 「いえ・・」
 耳まで朱くなった私を見て、彼は不審そうに聞いておりますが、私には答えことすら
 出来ません。

犯されて、満様のオンナになることを承諾させられて、半月ぐらい後のことですが、
 彼が申しております。
 「ひかる。あの時に俺の裸を見て欲情したんだろう・・?」
 「耳まで真っ赤になって、下を向くんだもの・・とっても可愛いと思ったんだ・・!」
 「イヤァ・・欲情なんか・・していません・・」
 もうその時点では、私は満様無しでは1日も暮れないほど愛していました。満様の
 完全なオンナになっていましたから、女言葉で拗ねておりました。
 「じゃぁ・・如何して赤くなったのだい・・?」
 「それは・・」
 満様のオンナになることを承諾した私を、揶揄う余裕が出来ている彼です。
 私としましては、年齢が1廻り以上も異なる満様に肉体を奪われた悔しさは無論あり
 ましたが、この肉体の喜びの方が勝っておりました。
 それに・・彼の言うことには絶対服従を誓っておりましたので、反論は出来ませんで
 した。

  あの時、「いえ・・」と言った切りドキマギしまして、慌てて彼の裸体から目を逸
 らした私を見て「オヤッ」と思ったらしいのです。
 でも・・その時は、満様も別段私をどうこうしようなどとは考えなかったようです。
 だけれども{ 色が白いでけで、特別ハンサムでも無い普通の中年のこの男をただ
 可愛い・・}と思っただけだそうです。

      < ワイン >
  話を元にもどしましょう・・
 「これなんですよ・・職場の人がフランスに行った時に送って貰ったお土産です。
 僕も飲めるほうじゃ無いので・・取って置いた物ですが・・」
 「ワイングラスがあれば良いのですが・・」
ボクサーパンツだけの裸の上に甚平見たいな物を羽織った彼は、傍の棚の上からワイ
 ンの小瓶と普通のグラスを2つ持って来ました。
 「いいのですか・・?」
 「エ~ッと・・摘みは・・これしか無いなぁ・・」
 読めもしないフランス語で・・らしいのですが。書かれているラベルを見ながらそ
 う言う私に構わずに彼は独り言を言うと、ピーナッツの小袋を破いております。
 『確か・・ここにあったよな・・」これも彼の独り言です。
 コルクの栓を抜く栓抜きの付いた万能ナイフを持って来て、私の対面に座りました。

  「こんなグラスじゃ美味しくありませんね・・」
 笑いながらコルク栓を抜いて、彼は赤のワインを半分ほど2人のグラスに注ぎま
 た。
 「じゃぁ・・2人の出会いに乾杯!」
 グラスを持ち上げて2人はグラスを合わせます。
 飲んだワインは甘く、口当たりが良いのです。私は一気に半分ほど飲み干してしま
 いました。
 40分ほどの時間の内に注がれたワインを150ccは飲んだでしょうか・・?
 私はフワフワとした気分になって来ました。
 お酒をほどんと・・と言うよりも飲めない私はワインに酔ってきたようです。ワ
 インもお酒なんですね・・
 顔も熱を帯びて来ましたから、真っ赤に染まっていたと思います。
 口も回らなくなっていました。ワインに酔うなんて洒落にもなりませんね・・

  「そろそろ・・お暇しないと・・」
 回らなくなった口でそう言うと、私は立ち上がりました。
 一旦は立ち上がったのですが、腰が抜けたようにまたペタンと椅子に座ってしまっ
 たのです。
 「大丈夫ですか・・?」
 対面に座っていた彼は大慌てで私に駆け寄って、身体を支えてくれています。
 「ライジョウブ。ライジョウブ」
 手を振ってそう呟いていましたが、私は腰が立たないどころか、身体さえ支えら
 れないのです。
 「スミマセン!こんなに・・酔うなんて・・知らなかったものですから・・。注い
 だ僕が悪かった・・です」
 彼が謝っている言葉が遠くの方で聞こえたような気がしています。
 「僕のベッドで・・少し休んで行きますか・・?」
 「帰る。帰る・・」と言うが、身体が就いて行かない私を抱き抱えて、隣の部屋の
 ベッドに寝かせてくれたようです。
 もう・・その頃には、私は意識も朦朧と・・いや意識は無くなっていました。(
 つづく)





























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