小説 舞の楽園 ( 図書士の恋 )
- 2022/03/24
- 23:01
図書士の恋 - ( 17 )
「ひかる。返事はどうした・・?名前を与えてくれた俺に対して何もないのかい・・?」
逡巡している私を見て、強い調子で言っています。
「はい。『ひかる』と言う名前を与えて頂きましてありがとございます。」
「このお部屋に帰って来ましたならば、わたくしは『ひかる』と言う女になりますことよ。
どうか・・ひかるを可愛がって頂きとうございます」
「ひかるは可愛い女となりますわ・・」
思わず言ってしまいました。・・と言うよりは、私の中のオンナの気持ちが言わせたのだと
思っています。
「契約成立だな。。」
彼は嬉しそうに笑って冗談ぽく言いました。そのいい方はいかにもビジネスマンらしい言い
方でした。
「俺はこう言う男なんだ!女に普段は優しいと思っている!けれども・・SEXになるとSに
なるようなんだ・・」
「どうしてそうなのかは判らないが・・きっと生まれつきなのだろうよ・・」
「だけど・・オンナになったひかるが大好きなんだ・・。愛している!こんな俺だけど・・
就いて来てくれるかい・・?」
一転して大真面目な顔になって言います。
「はい・・」
小さな声ながらハッキリと頷きました。
今まで他人から(元妻も含めてです)これほどまでに真剣に「好きだ・・愛している・」
と言われたことは無いのです。
「愛している・・」と云う彼の言葉に賭けたのです。
それには・・私が彼のオンナになることが条件のようです。私は彼のオンナになることを
決心しました。
今まで女見たいなこの躯が好きではありませんでしたが、今では白い躯に産んでくれた母
に感謝です。
「わたくしも・・あなたを好きなのです。ううん、愛しておりますわ・・。こんなひかる
ですが・・可愛がっていただきとうございます」
彼の真剣そのものの眸を見てハッキリと言いました。初めて自分から「ひかる」と言って
aa います。
彼は非常に嬉しそうに私を抱きしめると優しく唇を吸ってくれました。
その夜は、何回も何回も・・回数さえ判らなくなるくらい、彼に愛されました。
「ひかる。ひかる」と言ってです。
次の日は、彼は会社がお休みなのですが、私は図書館へ出勤しなければなりません。それ
なのに・・寝かせてはくれません。
朝、目覚まし時計で起きたのですがまた2度寝をしてしまって、図書館の開館時間に30
分も遅れてしまったほどです。
マンションから直接図書館へ行ったのですが、お天気の良い朝でしたので、太陽が黄色く
見えました。
しかし・・私の心は幸せそのものです。
私の恋は始まったばかりです。
この後、如何いう経過を辿るかは神ならぬ私には判りません。
今しばらくは、昼間図書館へ男の姿で出勤しまして、マンションに戻って来たらば女に
なる生活が暫く続くと思われますが、そのうちに完全にオンナにならないといけない日
が来ると思います。
彼の愛が続いていれば・・のお話ですが・・
でも・・彼の愛を信じて、私は彼と一緒に歩んで行く積りです。(完)
スポンサーサイト