小説 舞の楽園 ( 退職記念 )
- 2022/03/30
- 23:45
退職記念 - ( 5 )
< 3 > イグアスの滝
次の日、午前中にブエノスアイレスからイグアスまで飛行機です。
アンデス山脈の南側を飛行機で超えたのですが、窓から見える風景は日本の山とは違っています。
緑の部分が無いのです。薄紫に近い色が広がっているのです。それに山の部分も日本の山よりも
鋭角です。
イグアス空港に近づくと流石に緑が多くなって来ましたが、暗い緑なのです。
日本だったらば、様々な緑が楽しめるのですが、何か赤茶けた緑色一色なのです。
イグアスの空港はジャングルの中にポツンとあります。空港の設備以外は何もありません。勿
論、売店やお土産物を売るところも喫茶なんてありません。
空港からバスに乗ってジャングルの中を暫く走って、ブラシル側に入りました。国境を越えたの
です。
バスに乗る時に、私がキョロキョロと辺りを見回していますと、大村さんが近づいて来ました。
2人は隣の席に座りました。飛行機は別の席だったのです。
イグアス河のちょうど中間が国境とのことで、橋の欄干の色が違っていました。それだけです。
「ホウ・・ここが国境かな・・?日本にはない風景だな・・」
大村さんが感心したように言いました。私も笑顔で頷いています。
本当に周囲が海の日本では見られない光景です。
イグアスの滝は大きな滝が何10と云うほどあるのです。写真で見るイグアスの滝は1つの
ように見えますが、他にも大きな滝があるのです。
それも日本の1本か多くても2本の滝などとは違って、1つ1つが雄大で滝の幅もけた違いに
大きくて膨大な水量なのです。
「日本の滝なんて・・ここから比べると赤ん坊の小便見たいなものだな・・」
彼は驚嘆して言っています。例えは悪いのですが、本当にそうです。
「本当ですね!こんなに水量が豊なんて・・写真を見ただけでは判りませんものね・・」
私はその膨大な水量と滝の大きさにそう答えるのが精一杯です。
滝の下側の河に降りて、15名程乗れるボートで滝の下に潜れるのです。
全員が濡れてもいいような服装をしてボートに乗り込むのです。亜熱帯地方なので濡れても
寒くはありません。
彼も私もヤッケを着込んで乗り込みました。私はヤッケの下は7分丈の半ズボンです。
フードを被って滝の下に入るのですが、滝の水の凄い水量と水圧でフードなどは直ぐに吹き飛
ばされてしまい何の役にも立ちません。
フードは捲れてしまって首筋のところから水が大量に入って来るのです。
ボートは3回ほど滝の中に入ってくれましたが、全員が全身ズブ濡れになっていました。
白人の男性などは水泳パンツ1つと云う人もおりましたが、それが正解かも知れません。
水に落ちたような状態なのですが、緯度が低いせいか寒くはありません。ボートを降りる時
にはもう渇いた状態でした。
滝に入る時には私も彼も、ボートに乗っている全員が歓声を上げていました。
それから、悪魔の喉笛と云う場所を見学しました。
悪魔の喉笛と云う場所は、幅が10kmもある大きなイグアスの滝のど真ん中にあります。
河の水流によって出来た直径50mほどの円形に抉れた場所にある滝のことです。
写真に出てくるイグアスの滝として紹介されているところです。
そこに行くのはイグアス河に掛かっている観光用の幅80cmぐらいの細い木の橋を1・5
kmぐらい歩いて行かなければなりません。(つづく)
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