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小説 舞の楽園 ( 私の心と肉体 )<第1部>

   
      私の心と肉体<第一部>-66
 それから小1時間ばかりバー化女にはおりました。
お客様が他に2組も入って来まして、それを機に先生がお会計をしております。
「一子さん。また来て下さいね。きっとよ!」
「それからね・・・働きたくなったらここに来て・・・わたしに面倒を見させて・・」
ママさんが私が脱いだ上着を手にして、肩に掛けながら先の言葉を言っています。
先生が見送りに見えた広子さんと朋美さんに冗談を言っているのを見たママさんは、
私の裸の肩紐を直しながら、小声で囁きます。
「ママさん。その時は宜しくお願いいたしますわ・・・」
その時点では、{優しい旦那様がいらっしゃるのに、働くなんて・・・そんなことはあり
得ない・・・わ}と思いながらも、ママさんの言葉に感謝しながら私も小さな声で返事
しておりました。
神ならぬ身の私ですが、それから1年も経たぬ間にこのオカマバー「化女」で働くよ
うになるとは、幸せ絶頂の私には心底思わなかったのです。
今になって考えると、その時のママさんの不思議な勘が当たったとしか考えられない
のです。
別段、ママさんが霊能者であることもありませんが、その時のママさんは不思議な勘
をしていたとしか云いようがありません。


  < 23 >
 私は今は幸せなのですが、不安なのです。
健次様との愛の生活が何時まで続くのか・・・がです。
健次様はもだ20代ですが、私は60歳に手が届こうとしております。
確かに、今は先生の整形手術に拠って20歳は若く見えますが、それでも老いは確実
にやってくるだろうと思います。
そうなった時が怖いのです。
ご主人様に「お前は飽きた。お前はもういらない」と言われたらば、如何したら良い
のか分からないのです。
そう言われたならば、何にも言わずに身を引く覚悟はしておりますが、悲しみの余り
自殺を企てるかも知れません。
幸せの絶頂にいても、健次様に捨てられてしまうことを、いつも頭の中に置いていま
した。

 何時も私が考えていることを化女のママさんは知っているようでした。
今まで、散々男とお付き合いをして振られて、男に泣かされて来た経験があるよう
です。幸せの絶頂に居る私の心の中を読んでいた見たいです。
これはズ~と後で知ったお話しなのですが・・・化女のママさん見たいな人を宮本
武蔵と言うらしいのです。宮本武蔵は両刀使いだったそうです。化女のママさんも
男役でも女役でもどっちもOKなようです。
ママさんは私を見て女の役しか出来ない・・・と思ったのです。私の姿がママさん
の男の心を擽った見たいなのです。私を貫いた最初の時に、「一子を保護してやらな
くっちゃ.・・・」と思ったと言っていました。(続く)
+
 
   
      私の心と肉体<第一部>-67
 オカマさんと1口に言っても、色々タイプがあるらしいのです。
今言いました、性愛の時にオンナになるか、又はお相手によっては男になるかの二刀
流の他には、純ホモの1本釣りと言うのや、ウラナリ、フタナリと言うのもあるらし
いのです。
ウラナリと言うのは、男の人がお相手の時だけ女性を感じて女になるタイプの人を指
し。フタナリと言うのは生まれた時から男の性器と女の膣を持っている人のことで、
心は完全に女だそうです。フタナリの人は女性の傍に行くだけで、不愉快になる人が
いるそうです。
けれども・・{皆が皆オカマさんになる筈が無いわ・・・}と私は思っていました。
純ホモの方は男性を男性として愛してしまう人達で、男性を女性とは見立てなくとも、
男性そのものを好きになってしまう人のことです。
けれども・・・私と健次様はどの部類にはいるのでしょうか・・・
健次様に犯されてしまって私は彼のオンナにされてしまったのですから・・・でも
健次様は私の肉体は改造を加えて下さいましたが、女陰は作ってくださいませんで、
肝心な小さいながら男の象徴は残して後ろの部分を愛してくれているのです。
私のようにオンナになっていて男性と暮らしていて、環境によって肉体まで変えら
れてしまった者を世間の人は何と言うのかしら・・・?
まあ・・・いいです。生まれた時は身体に余分なものが着いていた・・・と云うだけ
で、私は今はもう心も肉体も女なのですから・・・

 ホモの方でも男役(カッパ又はタチ)と女役(アンコ又はウケと言うらしいのです
が・・・)があるようです。
それは同性として愛し合うのでは無く、必然的に男役と女役が決まってくるのでは
ないでしょうか?
私のように男性が好きになったら最初からウケになって男性を受け入れて、ご主人様
のように女を愛するがごとく肉体を求める人はタチになるのでしょうか?
幸いにも、健次様と私のような人が出会うと、最高に旨く行くのではないでしょうか

女同士の愛の形のレズピアンの方でも、男役と女役が決まっているそうですね。男役
の方をオタチ、女役の方をネコと言うそうですね。

 化女のママさんも私の中に女以上の女の部分を認めたようなのです。
これも後で聞かされたお話ですが・・・「この人は何かあったらば、わたしが守って
やらなければ・・」と思ったそうです。
女になった私としては非常に有難いお話だったのですが、その時は幸せの絶頂でした
から、そんなこととは夢にも思わなかったのでした。
「先生。また・・きっと。いらして下さいね」
オカマさん特有の甲高い声に送られて、呼んでいただいたタクシーでお食事を取った
ホテルまで帰って来ました。
ホテルからは先生の運転するマークⅡの助手席の人となっていました。(続く)

 
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