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小説 舞の楽園 ( 退職記念 )


 
退職記念 - ( 34 )

   「どれ・・良く似合う・・よ!」
 そう言った彼は私のドレス姿に興奮しているようです。襲い掛かると私をベッドに押し倒しまし
 た。
 「あっ。待って・・待ってちょうだい・・。ドレスが皺になってしまう・・わ」
 「いいんだ!皺にはならない・・」
 確かに彼の選んでkれたドレスは皺にはなりそうにもない生地ですが、彼がこんなに興奮するな
 んて思っていなかった私はチョッピリ抵抗したのですが、内心は嬉しくって仕方がないのです。
 その後、ショーツだけを脱がされてしまって、ドレスにサスペンダーとストッキングを着けた
 だけの私をまたまた正常位で貫かれておりました。

  「このホテルを出るときには・・女になったお前を連れて行く積りだったんだが、それは無理
 なようだな・・」
 「今度会う時には・・完全な女になっていて欲しいのだ・・!」
 翌朝、ホテルをチェックアウトするときに、彼は冗談めかして言っておりましたのを忘れてはお
 りません。


     < 13 > 成田から帰って・・

   「無事に帰って来たよ。厚子のお陰だよ・・!」
 成田から家へ帰ってきた私は妻の仏前へ線香を上げて、旅行中も事故などに合わずに無事に帰
 って来られたお礼を言っています。
 厚子と云うのは亡き妻の名前です。
 「それから・・報告をしなければいけないことがあるんだよ・・」
 私は決心していました。
 この旅行が終わったならば、男を捨てて崇さんのオンナになる・・と言うことをです。
 子供達にも報告しなければならないのですが・・まず亡き妻には話さなければならない・・
 と思いました。

子供達には{ わたしの気持ちを理解してくれることは無いでしょう}とは思っていますが、
{ それでも話さない訳にはいかないでしょう・・}と思ったのです。
 もしかすると・・いえ当然。子供達の方からは絶縁状を叩き付けられる・・とは思いますが、
 それもこれも仕方が無いこと・・と思ったのです。
 私はこの肉体を奪った彼を愛してしまったのです。
 もう元に戻って男であることなどは考えられないのです。

  「厚子には済まないとは思っているわ。けれども・・崇さんを愛してしまったのよ・・。
 わたしは崇さんの望み通りのオンナになるわ・・!」
 「女として残りの人生を生きたい・・と思うのよ・・」
 線香を上げた最初の頃は確かに男言葉を使っておりましたが、何時の間にか女言葉になって
 しまっています。
 成田のホテルで彼と過ごした1夜から、ううんっ・・その前から、私の女言葉は自然と口に
 出るようになっていました。

  「彼は大村崇さんと言うのよ・・。崇さんとはこの旅行でお知り合いになって、わたしは
 崇さんのオンナになったのよ」
 「崇さんは奥様を亡くしていらっしゃるの・・わたしが亡くなった奥様に似ているんだって
 ・・おっしやるのよ・・」
 「崇さんもオンナになったわたしを愛しているとおっしゃって下さるのよ。わたしも崇さん
 を愛してしまったの・・」
 「女になったわたしを見守ってちょうだい・・な!厚子さんのことは決して忘れないから
 ・・」
 妻の仏前で長いこと手を合わせて謝っていました。
 妻の厚子がこの旅行に行かせてくれて、崇さんと引き合わせてくれたのだ・・と私は考えま
 した・
 妻の遺影も微笑んでいました。
 女になったことと愛する人が出来たことを、妻が喜んで許してくれたのでしょう・・と私は
 考えております。(つづく)















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