小説 舞の楽園 ( 退職記念 )
- 2022/05/03
- 23:23
退職記念 - ( 37 )
もうその頃にはお勉強もしまして、お化粧も上手になっておりました。
24時間女になっております。
幸いにも、妻が残してくれたお洋服などもありましたので、食料品や日用品のお買い物も女の
姿で出かけておりました。
ただし・・彼に成田で買って頂いたピンクのセーターと真紅のミニスカートだけは、彼から「
これから、行くよ・・」と電話があった日に家の中で着るだけです。
しかし。それを着ていると、彼は非常に喜んで下さるので私は着甲斐があるのです。
夜も激しいような気がしています。
私は外出するときは、ご近所に方になるべく会わないようにしています。
私の妻は外交的な性格だったのです。ご近所とのお付き合いも活発に行っていました。
普段の日は兎も角、私もそれなりにご挨拶をすることが多かったのです。
{ 女になっていることがご近所の方に知られたらば、もうここには居られない・・わ}と思っ
ていました。
彼を愛してしまった以上、女になったことを息子や娘に知られてしまうのは、もう如何が無い
ことだとは覚悟が出来ておりました。
・・しかし、ご近所の方とは毎日のこともありますので、{ 出来るだけヒッソリと暮らして
行けたらば・・}と思っております。
彼も、私の心の中にあるものを知っております。
それで・・{俺のところに来ないか・・?」とおっしゃって下さいました。
「ただし・・俺のところは息子が嫁さんを貰う時に、工場の敷地内に俺と嫁さんの住まいを
建てたんだ・・。一応別棟にはなってはいるが、2DKで狭いんだ・・」
「それに、従業員も居るしな・・。会社は株式会社にはなってはいるが、社長のあいつはまだ
若い。俺は会長になってはいるのだが、専務などは社長のところでは無しに俺のところに相談
に来るんだよ・・」
「あいつ等は俺が社長だと思っているのかしらんが・・俺の住まいの方にもズカズカと入り
込んで来るのだ‥よ」
「そんなところへ・・お前を来させたくはないのだ・・」
彼はベッドから起き上がって、全裸のままソファーに座り煙草に火を点けました。
彼のその全身は熊さん見たいに毛深いのです。
ピンクのネグリジェを裸の上に羽織って、彼の隣に座りました。無論、女になったのです
から膝を尽けてお上品にです。
「新築のマンションを購入しようよ・・!このマンションを売りにだして、新しいところに
引っ越しをしよう・・」
「このマンションを売った金額と新築のマンションを買った金額の差額は俺が出す!そこで
お前は最初から女で暮らすのだ・・!」
「どうだ!考えてくれないか・・?」
黙って聞いていました私は{ 彼の考えは悪い話ではないわ・・}と思いました。そして
{ 彼と暮らせるなんて・・素敵だわ・・。どんなところだっていいわ・・}と考えていま
す。
「新築のマンションで無くってもいいわ・・!中古のマンションでも、入居するときは
内装なんかは新しくしてくれてあるのでしょう・・?新しい処と同じよ・・!」
「出来れば・・ここを売りたくはないのよ。。幸いにも、わたくしには退職金が残っている
から、2000万円ぐらいの物件を探しましょう・・よ。あなたの会社の近く・・でね!」
私は2人の子供達は別々に家庭をもっておりますが、私が死んだ後はせめてこの住宅ぐらい
は残して上げたいのです。
そこで・・この住宅は賃貸することとし、残してやりたいのです。
「うむっ、そうだな・・。よし、明日から中古の物件を見て廻ることにするか・・?」
彼も納得して下さったようです。
早速、彼は携帯で電話をしております。学生時代の友人が不動産会社の社長さんをしていら
っしゃるとのことでした。
彼は納得すると、仕事は早いのです。
{ 流石は社長さんだった・・のだわ・・}彼の行動力に感嘆すると共に尊敬の念を強く
しています。(つづく)
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