小説 舞の楽園 ( 退職記念 )
- 2022/05/06
- 22:53
退職記念 - <39>
「もう2か月以上前かな・・?南米へ行って来たんだ!イグアスの滝やナスカの地上絵を見
に・・な。その時に知り合ったんだ・・!」
「それより・・頼んだものは見えるのだるう・・ね?」
彼は恥ずかしいのか、話を昨晩電話で頼んで置いた物件の方は持って行きます。
「相変わらずせっかちだな・・。そうだな・・2~3ピックアップしたんだ!これから身に行
くかい・・?」
「まぁ・・座れよ・・!」
大出さんは親友の顔から不動産屋さんの顔になると私達に椅子を進めてから、若い女子社員に
お茶を出させています。
そして、机の上に置いてあった書類を持って来ます。
「近くだと・・この物件あたりがお勧めかな・・?」
「実は彼女は三郷にマンションを持っているんだ!それを賃貸に出して、この近くの分譲マン
ションに入ろうとしているんだ・・!お前に管理を頼むから、良い物件を紹介してくれよ」
「俺の新居になるのだから…頼む・・よ!」
インターネットから打ち出された3~4件の分譲マンションと2件ばかりの賃貸物件を見ながら
彼は言っています。
今は何処の不動産屋さんでも、ネットを使って検索するので選ぶのには時間が掛からないし、そ
んなに違いはないそうです。
「この物件なんてどうだい・・?ちょっと高いけど、シッカリした物件だぞ!」
物件を見に行きました。
大出社長さんのお勧めの物件は2件目で紹介されています。
中に入って見ますと、3DKは三郷の私の家と同じなのですが、内装も完璧にしてありまして台所
も取り替えてあるようです。綺麗な物件です。
ただし、3000万円の価格が付いています。
「この物件は俺のところで仲介して、内装なんかも俺のところでしたんだ・・!」
「お前が入るならば・・2600万円でいい!もうこうなったら、採算は度外視だ・・!」
大出社長さんは言っております。
そのマンションは江東区の外れにありまして、金町までは下りになりますので、混雑は無い
ようです。彼の会社までは車で10分くらいで行けそうです。
私はその物件が気に入りましたが、600万円も予算がオーバーですので、即答は出来ません。
「不足する金額は彼が負担してくれる」と申してくれていますが、彼には負担をお掛けした
くはないのです。
「う~んっ・・気に入ったけれど・・。だけど・・もう2~3見せてくれないか・・?」
私の終の住み家になるかも知れない家を選ぶのに、彼は慎重なのです。
そう申して次の物件を見ました。
それから・・後2件ほど廻って、他の不動産屋会社も1軒廻りまして帰りの車の中です。
「う~ん。どれにしようか・・?」
運転しながら彼は私に意見を求めて来ました。
「今日。2軒目に見ましたお家がいいと思いますが・・ちょっと予算がオーバーだわ。他にも
3軒目に見ました物件なんて・・如何でしょうかしら・・・・?
「うんっ。あの物件か・・?あれは辞めといた方がいい!内装はいいが・・古いから東京直下
型地震が来たら倒壊するかもしれんぞ・・!築40年以上は経っているんじゃないかな・・」
彼が申すので手元のプリントを見て見ますと、確かに築45年と書いてあります。
流石に彼はそういうところも見逃してはいないのです。(つづく)
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