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小説 舞の楽園 ( 退職記念 )


 
退職記念 - ( 44 )

    「アリガトウゴザイマシタ」
 「下地が綺麗な人だと・・見栄えがするものね・・」
私がお礼を言うと、砕けた調子で笑っています。
 この明るくって気さくないかにも下町のお嬢様の美咲さんとは仲良く出来るのではないか・・
 と思い、彼女が好きになりました。
 「また・・お化粧を教えて下さらない・・?」
 「いいわよ・・!わたしね。母を早くに亡くしたものだから・・お義母さんに甘えたいのよ!
 宜しくお願いします・・」
 美咲さんはそう言って頭を下げました。
 「あらっ・・そうなの・・?思い出させてしまってゴメンナサイネ。こんなわたしですが・・
 宜しくお願いします・・」
 もう義母として、いえ・・崇さんのお嫁さんとして認めてもらったようです。
 私も砕けた言葉で頭をを下げました。

  「何だ・・!良いことでもあったのか・・?そう云えば化粧が変わったようだな!より美人
 になった・・な!」
 「お待ちどうさま・・」と嬉しくなってウキウキと席に座ると、ガハハハハッと笑っていた
 彼がそうおっしゃいまして、私達を迎えてくれました。
 「美咲さんにお化粧を教えて頂いていたのよ。あなたからもお礼を言って下さい・・な」
 「ありがとう。これからも宜しく頼むよ・・!」
 私が言うと、彼は頭を下げています。
 この家族に迎え入れられたのだ・・と私は安心しております。

  それから2週間後。新居に引っ越しをしました。
 引っ越しには、彼の会社の従業員の皆さんが6~7人手伝いに来てくれました。勿論、隆之
 さんと美咲さんもです。
 皆さんは私を女性として扱ってくれまして、重い荷物などは持たせてはくれないのです。
 私は大大大満足です。
 あっ・・その前に・・三郷の住宅にある私が男だった時の洋服・下着類。本や書類の一切を
 業者の方に引き取っていただきました。


      < 17 > 美咲さんと・・

美咲さんとは本当の親子のように仲良くなりました。
 スカイツリーの真下にあるホテルでの食事の後、3日後には三郷のお部屋に突然美咲さん
 が訪れてくれたのです。
 ”ピンポーン・ピンポン”とチャイムが鳴りまして、私が出て行きますと、美咲さんが
 立っておりました。
 「コンニチワ・・連絡もしないで・・来ちゃった・・」と笑顔です。
 「今日はお義母さんにより美しくなってもらおうと思って、お化粧道具を持って来たの
 よ・・」
 その砕けた言葉と様子は本物の親子の会話です。
 「まぁ・・嬉しい・・わ!娘さんは・・?」
 「幼稚園よ・・!今日はお友達の処へ遊びに行くんだって・・だから・・今日は来ちゃった
 のよ・・」

それから、軽くお化粧をしていたのを洗顔しました私は、本格的にお化粧をして頂きま
 した。
 「どうかしら・・?」
 「まぁ・・これがわたし・・?」
 美咲さんの問い掛けに眸を開くと、30代の女の人が鏡の中で驚いた表情を浮かべている
 のです。
 何時もは付けていない付け睫も長く、アイシャドーも入れて眉も細くして、見違えるよう
 な美人に変身しております。
 「ねぇ・・これからお買い物に行かない・・?わたしを美しくしてくれたお礼をしたい
 わ!ねぇ、行きましょうよ・・!」
 余りの美人に変身させてもらったので私は他人にも見せたくなって、ショッピングに行き
 たくなっています。
 本当の女にまた1歩近づいたような気がしております。(つづく)
























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