小説 舞の楽園 ( 記憶に残った女 )
- 2022/05/29
- 23:50
記 憶―2
(2)美女
「あら、やっと起きたのね。オハヨウ」
浴室に続いていると思われるドアが突然開いた。
淡いピンク色のガウンを着た色白の女が入って来た。女はシャワーを浴びて
簡単に化粧をしていたらしい。
女の背は165cm位で、茶色の髪をして、ガウンの胸元は素晴らしい盛り
上がりを見せている。
俺は女を見つめて、確か最後に寄った「ルージュ」と言うスナックで独りで
飲んでいた女だったはずだと、思い出した。30前の色白の綺麗な女で、寂し
そうにカウンターに座っていたことと、酔った勢いで隣に座って多少の話を
した記憶があるが、話の中味も彼女の名前も思い出せなかった。
「どうも・・」
一応、挨拶は返したものの、次の言葉は出て来ない。我ながら、間抜けな顔
をしていると思ったものだ。
俺自身、彼女の部屋に泊まったこと自体、信じられないのだ。
「シャワーを浴びるんなら、ローブがいるわね」
彼女はこともなげに言うと、白いタオル地のバスローブを手にして、ベッド
へ近ずいて来た、
彼女の声はハスキーであった。
「さあ、何時までもベッドに隠れていないで、起きなさいよ!」
女は上掛け毛布を掴むと、勢い良く、それを捲くりあげた。
俺は丸裸である。慌てて両手で前の恥部を隠した。
「どうしたの?恥ずかしいの?可愛いのね。意外に・・昨晩はあんなに
大胆だったのに・・」
フフフと女は含み笑いをして、丸裸で仰向いて恥部を隠している俺の身体
の上に、フワッとバスローブを掛けた。
「大胆? 僕が、ですか?」
俺は彼女の言葉に、思わず聞き返している。大胆と云う意味が理解出来な
かった。
まさか・・・女と何かあったのでは。と思うと胸がドキドキして来た。
「そうよ。初対面だと云うのに・・俺が何に見えるかとか、話し掛けて
来て・・その後は大泣きよ。奥様にインポだと、馬鹿にされたとか、なん
とか言って・・・」
「で、あたしも酔った勢いで・・・試して見ようかと言うことになって
しまって・・・」
女は貌を紅くして、最後の方は口篭った。
「そ、そんなことを・・・俺が?。・・君だって・・どうしてそんな・・
試すだなんて・・」
俺は慌てていた。
「気まぐれって言うか、成り行きって言うか・・それに・・酔っている
から・・・インポだと言っていたし、どうせ、無理だと思ったのよ」
(続く)
スポンサーサイト