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小説 舞の楽園 ( 記憶に残った女 )


         記憶が・・-2
   (2)現れた女
 「あらっ、やっと起きたのね。オハヨウ」
浴室に続いていると思われるドアーが開いて、淡いピンクのガウンを着た女が
部屋に入ってきた。女はシャワーを浴びていたと見えて、頭にはガウンと同じ
色のタオルを巻いていた。
シャワーの音がしなかったので、化粧をしていたらしい。背は165センチ位
で、ガウンの胸元は素晴らしく盛り上がりを見せ、ガウンから出ている手足や
胸は透き通るような白さだった。
確か、最後に寄った「ルージュ」と言うスナックで独りでカウンターに座って
飲んでいた女だったはずだ・・と、言うことを思い出した。
30前後の色白の綺麗な女で寂しそうにカウンターに座っていたことと、酔っ
た勢いで隣に腰を下ろして多少話しをした記憶があるが、話の内容も彼女の
名前さえも思い出せない。
「どうも・・」
一応勇も挨拶を返したものの、次の言葉が出てこない。
彼自身、彼女の部屋に泊まったこと自体信じられないのだ。
「シャワーを浴びるんなら、ローブがいるわね」
彼女はこともなげに言うと、白いタオル地のバスローブを手にしてベッドに
近ずいてきた。彼女の声はちょっとハスキーで俺の耳を心地よく擽る。
「さあ、いつまでもベッドに隠れていないで・・・」
女は、上掛けの毛布を掴むと勢い良くそれを捲り上げたのだ。
勇は全裸である。慌てて両手で前を隠した。

 「どうしたの?恥ずかしいの?可愛いのね!以外に・・・。昨晩はあんなに
大胆だったのに・・」
フフフと女は含み笑いをして、丸裸で仰向いて前面の恥部を隠している勇の
身体の上に、ファーァとバスローブをかけた。
「大胆?僕が・・ですか?」
勇は彼女の言葉に思わず聞き返していた。大胆という意味が判らない。
まさか・・この女と何かあったのでは?・・と思うと、胸がドキドキしてくる。
「そうよ。初対面だというのに、俺が何に見えるかとか・・話し掛けてきて。
その後は大泣きよ。奥さんにインポだと馬鹿にされたとかなんとか言って・・」
「で、あたしも酔った勢いで・・試して見ようかということになってしまって
・・・」
女は顔を朱くして、最後のほうは口篭った。
「そ、そんなことを・・俺が?・・・君だって、どうしてそんなことを・・
試すだなんて・・・」
勇は慌てている。
「気まぐれって言うか、成り行きって言うか・・それに、酔っているから・・
インポだと言っていたし、どうせ無理だって思ったのよ」
「だけど・・正直、すごくよかった・・・」
うっとりとした顔で言うと、女は乗せているだけのバスローブの中に素早く
白く輝く手を滑り込ませて、焦っている勇の股間のものを握ったのだ。
とたんに、勇のそれは電気が走ったかのように気をつけをして、ピクンと勃ち
あがっている。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。・・俺がそんなことを・・悪い!・・ホントに
記憶がないんだ」
勇は本当に焦った。
「ひど~い。最後には、俺はお前とヤル。ヤレなきゃ死んでやる・・とか言
って・・凄い剣幕だったじゃない」
「そんなこと、俺が・・?第一、そんな口説き文句で、君みたいな若い美人
が、冴えないおれと・・こんなことに・・・信じられないよ。そんな話・・」
勇は言いながら首を横に振っている。本当に中年男のどう見てもさえない自
分が、こんな美人と・・信じられなかった。(続く)
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