小説 舞の楽園 ( 看護婦になった私 )
- 2022/06/05
- 23:16
看護婦になった私―1
(1)
「しかし、大内さんの仕事も大変な仕事なんだなあ・・」
丸整形外科病院の入院患者さんの小林さんは、隣のベッドの片桐さんを見て
そう言いました。
「本当だよ。今夜は夜勤なんだろう?」
二人部屋の相方の片桐さんが相槌を打ちます。
「あら。大変なことはありませんよ。皆様のお世話をするのは好きですから。
そうですよ。今夜は夜勤なんですよ。よろしくね」
丸整形外科病院の男の看護士である私は、私の仕事上使っているちょっと女
ぽい言葉で明るく二人に答えていました。
丸整形外科病院は100床もある病院なのです。去年建て替えて総合病院に
なったのですが、「丸整形」と呼ばれてこの地方の有名な病院なもので、名
前を変えずにいたということらしいのです。
看護士は3交替。男も女もありません。
私は今年の3月に大勢の看護学生に混じって看護学校を卒業して、この4月
にこの病院へ来て、4ヶ月目の看護士なのです。この病院にもやっと慣れて
きたところで、患者さんと冗談も言えるようになって来たところなのです。
今も、勤務時間のことを小林さんから聞かれて、3交替で女の看護士と同じ
で、ちっとも差別は無いということを話していたところなのです。
(2)
“ブブッ、ブッブブー”
ナースコールが鳴っていて、寝ぼけた眼で時計を見ると、午前2時を15分
ばかり廻っています。
324号室は30代後半の小林さんと、20代後半の片桐さんが入室して
いて、その片桐さんのコールです。
片桐さんは交通事故で左足大腿部を複雑骨折して、救急車でここに運び込
まれたのですが、今はギブスも取れて明後日の月曜日には退院予定の患者
さんなんです。
同じ夜勤の女の先輩看護士に、324号室のコールがあったことを知らせ
ようとしましたが、その看護士さんは机に伏せって寝ているらしいのを
見て、病棟の1番端の324号室に懐中電灯を手に急いで行ったのです。
「どうしました?」
病室の扉を開け、真っ暗な室内を懐中電灯の光と共に覗き込みました。
「ううっ、痛いッ、痛いんだ!」
窓際の方で片桐さんの苦しそうな声が聞こえています。私は仕切ってある
カーテンの中に入って行きます。
片桐さんはお腹を抱えて痛がっていました。
「お腹ですか?」
「下っ腹だ。何とかしてくれ・・」
背中を丸めている片桐さんの毛布を捲くり上げて、驚きました。
「あっ、イヤッ」
濃い艶やかな体毛の中から、まがまがしい怒張が懐中電灯の光のなかで
テラテラと光って浮かび上っているのです。
突然、カーテンの向こう側から、私の腰が突き飛ばされたのです。
懐中電灯はベッドの上に転がり、私の身体は剥き出しの男根の上に被さ
って、私の紅も引いたことがない唇が怒張に当たりました。
162cm、50kgの小柄な私は、180cm76kgも有ろうかと
思われる片桐さんに頭を押さえ込まれ、「あっ」と驚いて開いた口腔に
怒張を無理矢理押し込まれてしまっていました。(続く)
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