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小説 舞の楽園 ( 海 )



『 海 』  - 8

    「なります!・・あなた方のオンナになります・・!いえ、ならせてください!」
  「ですから・・う、腕を離して下さい・・!そして、海には放り込まないで・・下さい!」
  もう男としての忻持も誇りも何もありませんでした。
  吊り下げられた右腕の、そして右肩の激しい痛みにボロボロと涙を零しながら泣きながら
  か細い声で哀願している私です。
  元々、男としての誇りなど薄い私だったのですが、このまま海に放り込まれてしまうので
  はないか・・と云う恐怖心が言わせていたことは言うまでもありません。


「よし!それならば・・全部脱いで、丸裸になることだな・・」
  錠様はニヤリと笑って、吊り下げていた私を胴の間の板敷に降ろされたのです。
  45歳の今日まで、私は人前で裸になったことはありませんでした。
  女のような白い躯が恥ずかしかったのです。

   錠様が口笛を吹き始めました。2人はゲーム感覚だったのかもしれまっせん。
  それを聞いた私はますます白い身体を小さく縮めています。
 「どうした?俺の口笛では脱ぐ気にはならねぇか・・?うんっ!」
 「早く脱げよ・・」
  私を見詰める2人の若者達の眸には段々と嗜虐の光が灯って来たような感じがして来ま
  した。

   「そんな!冗談は止めて下さい・・!裸にならなくっても逃げたりはいたしっません。
  仕事の方はキチンといたしますから・・」
  吊り上げられていた腕の痛みが降ろされたことによって薄らいで来ると、男達が冗談を
  言っているのだ・・と考えたのです。
  冷静になって考えて見ると、2人が男の裸を見ても面白くとも何ともないだろう・・・
  と思ったのです。

   「冗談? 冗談なんかではねぇよ・・!早く、脱げ!」
  『逃げられると思っているんか・・?ここは・・船の上だぜ! 早く脱いでストリップ
  をやらねぇか・・?」
  男達は吠え、本気で男である自分を・・丸裸に毟る積りでいることに私は気付いたの
  です。
  屈辱と恐怖と(怒りも多少あったと思います)で歯をキリキリと噛みしめています。


   「イヤァ。嫌ですぅぅ・・!助けて・・助けて下さい!話が違いますぅぅ・・!」
  気が付いた時には、再び身を揉んで悲鳴を上げている自分を発見していました。
  私は自分の股間の物が余りにも小さいので、男達の前に晒けだすことを拒んでいたの
  です。

    ”バシッ。バシッ”
  その瞬間に・・私の両頬が鳴りました。
  「騒いでも無駄だ!この船には俺達の他には誰も乗ってはいねぇ・・!大人しく言う
  ことを聞け!丸裸になるんだよう・・」
  「手間を取らせるんじゃねぇ!生きていたかったら・・オンナになるよりは道がねぇ
  んだろう・・?」
  怒鳴りあうがごとく言っております。
  親にも殴られたことの無い私の白い両頬にあ見る見る大きな手形が浮かんでいるもの
  と思われます。
  再び恐怖で、私は震えあがってしまいました。(つづく)




















 


 






      
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