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小説 舞の楽園  ( スワッピング )

 
       スワッピング ( 1 )
  私は今年で57歳になります。
会社の役職も部長代理となり、後3年で定年退職と云ったところでした。
私は晩婚でして、40歳の時に6つ年下の妻とお見合いをしまして、結婚をしまして17
年を過ぎました。私の息子の性能が悪いのか、子供はおりません。
結婚をしてからは、この年齢になるまでごく一般的な普通の生活を送っておりました。
無論、結婚前には女性ともお付き合いをしたこともありますが、結婚してからは妻一筋の
生活を送っておりました。

 ただし、それも1年も前のお話です。
ある人にスワッピングに誘われたのが切っ掛けとなり、私は犯されてゲイの世界に、いえ
これはゲイと言うよりも私自身を女の世界に身を沈めてしまったのです。
20代前半の頃、曙橋にあった発展旅館には2度程足を踏み入れたことがあります。1度
目は何事も起らなかったのですが2度目に泊まった時に、アヌスを奪われて非常に痛い
思いをしたことがあります。
それ以来、ゲイの世界なんて自分には似合わない世界だと思ってキッパリと諦めておりま
した。
また、同性には愛なんてものは無いと信じていましたし、女の人を知ってからは男性に
欲情を感じることも無かったのです。
それが・・・この1年前の異質な体験からゲイの世界に、いえ、私が女装をしてある男性
の性の慰み者になってしまったのです。
若い時のアヌスの負傷から毛嫌いしていたゲイの世界と云うものは、私にとっては妖艶で
甘美なものだったのです。

    < スワップの話 >
  これと言って趣味を持たない私ですが、唯一中学生の頃に覚えた将棋だけは素人集団
である会社でも強かったのです。
私の住んでいる街にも碁会所がありまして、3年ほど前から月1回位は、日曜日の昼間に
なると通い始めたのです。
ちょうど1年半前のことです。
碁会所で将棋を指して帰ろうとすると、以前その碁会所でお会いしたことのある40代
中頃の男の人にお茶に誘われたのです。
普通は碁会所に来る人はそこで時間を使ってしまうためなのか、外ではあまり話しをしな
いものらしいのですが、その日は珍しく2番も指して疲れてしまった私は時間もありまし
たので、その男の人と駅前の喫茶店へ入ったのです。
「半田さんはお強いのですね。わたしなんか素人で、とても敵いませんよ・・・」
「あっ、わたしは佐々原と申します」
その男の人は固太りの大柄な身体を喫茶店のソファーに沈めながら自己紹介をして、なお
かつ私を煽てていました。
普通、将棋を指す相手の名前なんか如何でも良く、顔と実力とさえ覚えておけば良しと
なるものですが、『私の名前は碁会所の板壁に掛かっている名札を引っ繰り返した時に、
見たものでしょう』と思いました。(続く)

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