小説 舞の楽園 ( スワッピング )
- 2017/12/21
- 09:45
スワッピング ( 2 )
あっ、私は半田弦と申します。
1時間もその喫茶店で、将棋の話から最近の景気の愚痴を言い合いました。
その男性は佐々原さんと言うのですが、「同じ市内でも駅からちょっと離れたところで板金
を営んでいる」と言っておりました。
私は覚えていないのですが、佐々原さんは碁会所はこれで3回目だそうです。2回目の時
に私に会ったそうです。とうぜん将棋も指したこともありません。
初めてお話をしたのです。
「半田さん。奥様とは旨く行っておりますか・・・?」
話が途切れ、煙草に手を掛けながら佐々原さんは辺りを見回して、隣の席の中年のおば様
達が帰ったのを見計らったように、聞いてきました。
厳つい顔に見かけは微笑みですが卑猥な目の光りで、私はSEXの話だと直感しました。
「旨く行くも何も・・・ここのところ・・全然ないのですよ。もう私も年ですから・・・」
私も彼につられたように小声になって答えていました。突然話が変わってSEXの話になり
ましたので、私の顔は赫くなっていたようです。
実は1週間ぐらい前に、妻に迫られたのですが、私の肉棒が起つことは起つのですが妻の
肉体の中へ入れようとすると柔らかくなってしまうのです。当然中折れ状態の肉棒では妻
を喜ばせることは出来ないのです。
それからポツリポツリと妻とのSEXを話しました。
「奥様はお幾つなのでしょうか・・・?」
「女房はわたしよりも6つ下ですから・・・50になってはいますよ・・・」
「奥様から、あっちのお誘いはありませんか・・・?」
「いやぁ・・最近はわたしが起たないもので・・・」と誘導尋問されて、私は答えていま
した。でも、1週間前の失敗のことは伏せていました。私にもプライドと云うものがある
のです。
「可笑しいな。如何してそんなことを聞いて来るのだろう・・・」と不思議に思いながら
も、律儀に答えていたのです。
「半田さん。ご夫婦の回春にスワッピングなんか如何ですか?」
話が1段落したところで、佐々原さんは座りなおして煙草に火を着けて、そのライター
を机の端に置きながら聞いて来たのです。
無論。周囲には聞こえないような小声でです。
「えっ?今、何とおっしゃいました・・・?」
「スワップですよ。わたし達夫婦と・・・」
突然の小声に私が重ねて聞き直しますと、佐々原さんは「ス・ワ・ッ・プですよ」と薄笑
いを浮かべながら区切ってハッキリと言いました。
スワッピングと云う言葉が魔法のように私の頭を駆け巡りました。呆然と佐々原さんの大
きく厳ついが何処と無く愛嬌がある顔を見詰めていました。
「そんなに、驚いた顔をしないで下さいよ・・」
よっぽど私の顔が呆けていたのか、佐々原さんは大声で笑い出しました。話の内容を聞か
れると思って辺りを見回しました。
「奥様と違った若い女の人とヤルと起つかも知れませんよ・・・」
私が話した「男としてはダメなんだ・・・」と言った言葉が頭にあるのでしょう、佐々原
さんは嗾けるようにそう言うのです。(続く)
スワッピング ( 3 )
佐々原さんの笑いで緩んだ顔を見ながら私は考えました。
『この人の奥さんって幾つぐらいなんだろう・・・?この男が45歳ぐらいだから、同年
か、せいぜい違っても上下1歳くらいなんだろうか・・・?』とです。
「実はスワッピングをしていた方が福岡へ転勤になってしまって・・・パートナーが居な
くなってしまったのです・・・」
佐々原さんは真面目な顔になって、語り始めたのです。
「家の女房とわたしは1つ違いでしてね、43歳になります。まだまだ見られた身体を
していると思いますよ。ちょっと露出狂のところがありますがね・・・どうですか・・?
若返りの方便として若い女を抱くって言うのは・・・?」
佐々原さんは先程の私の話を覚えていて、私が勃起不全に陥っていることを指して、そう
言っています。
「如何ですか・・・?一度会ってやっては頂けませんか?」
佐々原さんは「スワッピングをすると言った前提で、奥様に会ってくれ・・・」と言って
いるのです。
「実は・・・ですね・この前、2週間ほど前ですが、駅前のパルコに奥様と一緒に行った
でしょう・・・?」
呆然と佐々原さんの顔を見ている私に質問して来ました。確かに2週間前の日曜日に妻と
パルコに行って買い物をして来ました。
私が頷くと「その時に私達は見たのですよ。あんまり仲睦まじいので、お声は掛けません
でしたが・・・」
確かその日は、パルコの中は混んでいまして何処かで私達夫婦を見つけたのでしょう。
「お声を掛けて下されば良かったのに・・・」
私はその時のことを思い出しながら、小さな声で答えていたのです。
「『あの方だったら・・・良いわよ・・・』と女房が言うのですよ・・・」
「わたしも奥様が気に入りましてね。如何ですか・・・若帰りの方便として、家の女房を
抱いてやっては頂けませんか・・・?」
佐々原さんはやけに積極的なのです。
『家の妻よりも6つも若い佐々原さんの奥様を抱いたならば、私の萎えた男性自身でも
起つのではないか・・・?』と私は考えたのです。
「SEXもマンネリになっている古い女房では中折れになってしまう男性自身でも、新鮮な
女ならば・・・』と思ったのです。
確かにそう思った途単に、私の股間のものは元気を取り戻していました。でも・・・中年
も大分過ぎた50代の私と妻と、この40代のご夫婦では吊り合いが取れないような気が
しないでもありません。
幾ら相手の奥様が私を見初めたからと言っても、若さ故相手のほうが損をしているような
気がします。
それに・・スワッピングのルールも知らない私と妻です。
「でも・・あなたの方が損をしていませんか?わたし達は、特にわたしはあなたの奥様よ
りもズ~ッと年上ですよ・・・」
私は思い切って口を開きました。
「そんなことはありませんよ。実は女房は相当な面食いなんです。前にもインターネット
で応募した人の顔写真を見せましたらば、「イヤだ」というのですよ。」
「それが・・・この間、お顔を拝見したら「あの方で無ければ嫌・・・」と言うのですよ。
是非、お願いします・・・」
佐々原さんは私を煽て上げて、頭を下げるのです。
「女房は年上の人が好みなんです・・・」とも言っていました。(続く)
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