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小説 舞の楽園 ( 海 )


 

『 海 』  - 36

1階の居間も、玄関も台所も掃いて拭き掃除を終えると、もう、幾ら全裸の私
  でも全身が汗に塗れてしまいました。
  最後にお風呂場の掃除をしまして、冷水でシャワーを浴びるともう10時を回って
  おります。

    

朝方の夫達の残り物でちょっと早めの昼食です。
  いよいよ、待望のお化粧をする時間です。

三面鏡の上の大きめの包みを開きました。1番上に{ 素敵にお化粧をするには
  }と云う手引書が1冊乗っております。
  夫達が私がお化粧などしたことがないのを知って、入れて下さったもののようです。
 
   その本の下には数種類の乳液・下地クリームや良い香りのしますクリーム・パフ
  ・色の異なるリップステック・マスカラ・頬紅・ハケの類等々色々ありました。
  カツラ、いえウィッグまで2種類もありました。
  1つ1つの値段は判らないのですが、トータルしますと10万円は超えるお買い
  物になることは推測できます。
  これらの物を買って下さったご主人様方の私に対する思い入れがヒシヒシと伝わ
  って来まして、嬉しくって身が引き締まる思いでした。

お化粧などしたことも無い私には何処から手を着けてよいのか、ちっとも判ら  
  いのです。
  まず、テキストを読むことから始めました。
  夫達の帰ってくるまでに最低3日はあるのですから・・
  1回、全部読んだのです。それから・・本に載っているお化粧品の名前と実際に
  ありますお化粧品を順番に並べました。

それから・・お化粧です。
  逸る心を抑えて、ます化粧石鹸で顔を良く洗います。これは油分を取り去ります。
  化粧石鹸もこの包みの中にありましたもので、本には「良く脂分を取らないとお
  化粧のノリが悪くなる・・」と書かれています。

   三面鏡の前のスツールに座りまして、化粧水を叩き、下地クリームを顔に塗り
  ます。 初めてのことで手が震えていました。
  次に、白粉を襟から首とパフで叩きます。
  鏡を見ますと、自分の顔ではない。。真っ白なお化けが写っています。

  白粉で白くなった眉を眉墨で形を整えまして、紫色のアイライナーで目の周り
  を塗りますと、 丸でパンダのような顔が映っています。
  やり直しをしようか・・と考えましたが、ここまでお化粧らしきものをしたの
  だから・・と思いまして、頬紅を塗りまして、ルージュを差して2つある内の
  長めのウィッグを被りました。

    鏡の中には悲しくなるほどのお化けがいます。
  ご主人様方のお帰りになるまでに、上手にお化粧が出来ますかどうか、心細くな
  って参ります。
  再びシャワーを浴び、お化粧を全部落としてから鏡の前に座りました。
  クレンジングクリームを塗りお化粧を落として、もう1度挑戦です。(つづく)
    





















      
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