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小説 舞の楽園 ( 海 )


 

『 海 』  - 81

「 綾は・・先生にお礼がしたいのです。今の綾は何も持ってはいませんわ・・。です
  が・・せめて先生に抱いていただくことし出来ませんのよ」
  薄くお化粧した貌が羞恥で火照っていました。
「今夜でいいのかい・・?今晩は市の医師会の会合があるんだ!6時から、Dホテルでな。
  ちょっと顔だけ出してからロビーに行くから・・7時にはロビーで待っていてくれないか
  ・・?」
  先生は優しいのです。看護師さん達に聞こえないように、声を落として言っています。

   
  
    U 市の中心部にありますD ホテルの1階にあるロビーで、私は一人でコーヒーを
  飲んでいます。
  流石はU 市でも一流のハイクラスなホテルで、ロビーにいらっしゃるお客様も洗練され
  ています。
  私は男だった時代でも、こういう場所には足を踏み入れたことはありませんでした。
  『こういう洗練された、華やかな場所で待ち合わせが出来ます女になったのかしら・・』
  と思うと、何だか嬉しくなって参ります。
  誇りたい気持ちが湧き上がって来ます。

今、ロビーの椅子に腰を降ろして独りでレモンティを飲んでいます黄色いワンピース
  を着た女性を、私は観察しております。
  彼女は文庫本を読みながら、額に掛かる柔らかそうな髪を左手で掻き揚げました。
  それは・・とても女らしい仕草で、惚れ惚れいたします。
  私も彼女の優雅な曲線を描く手つきを真似て髪を掻き揚げています。
  あんな風な優雅で美しさが滲み出るような女性に憧れて、自分もそうなりたいと思って
  いるのです。

   あっ。彼女が優雅に脚を組み換えました。
  私も脱毛が済んでいる脚を真似して組み替えて、肢を斜めに崩しました。
  彼女が本から視線を上げて、私の方をツラリと見ました。
  私はさりげなく窓の外に視線を移しておりました。

   「オマチドウサマ・・」
  先生が、ちょっと照れた貌をして、私に近づいて来ました。


      ( 26 )院長先生の性
   
    その夜は・・先生にエスコートされまして、イタリアンレストランで素敵な夕食を
  食べての帰りのことでした。
  「ちょっと・・ここへ寄って行こう!面白いものがあるから・・」
  先生の運転するベンツは暫く郊外を走りまして、1軒のお店の前で停まりました。

    そこは大人のオモチャ屋さんだったのです。
  私は大人のオモチャ屋さんなんて入ったことがありませんで、ドキドキしております。
  先生は私の肩を押すとお店の中に入って行きます。
  お店の内部は4~5坪のお店です。
  見るからに顔が赤くなるような雑誌、ビデオ。等身大の人形も沢山ありました。
  そのお人形には各個に色とりどりのパンティやブラジャーを着せてあるのです。
  数々のバイブレータや男性自身の形をした張り型の類がそこらイッパイに並べてあるの
  です。

    暫く陳列棚を物色していた先生は、私に着せるためにでしょうか、黒皮で出来た小
  さなブラジャーとこれも小さいパンティ。ガーターベルトに黒のメッシュのストッキン
  グに。紫色の灯りが内蔵されて光るバイブレータとオイルを買ったのです。(つづく)















      
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