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小説 舞の楽園 ( 海 )


 

『 海 』  - 82

オモチャ屋さんを出た先生のベンツは1軒のモーテルと書かれた看板の門の中に滑り
   込んでいました。
   その郊外のモーテルは受付を通さずに入れるモーテルだったのです。
   モーテルのお部屋に入りました私は驚きました。
   壁も床も。床に置かれた応接セットもベッドカバーも、何もかもが濃紺の差はあります
   が、紫で統一されているお部屋だったのです。

    それよりも・・もっと驚くべきことは、淡い紫色の壁が円形に繰り抜かれており、そ
   の中には種々の鞭と色々の形をした張り型とバイブレーターが置かれていることでした。
   中には浣腸器まで光っているのです。
   そして・・お部屋の片隅には、淡い紫色のリノリュームが敷かれてあり、そこ上には
   三角木馬さえ置かれているのです。
   そして・・もう一方の壁には鉄製と思われる輪っかが何か所も付いておりました。

    「綾さん。お風呂に入ってお出でよ・・!」
   お部屋に入って驚いて立ち竦んでいます私を抱き抱えながら、先生は私の唇を奪って
   からそうおっしゃいます。
   私はこのような本格的なS Mホテルに入ったことがありません。
   ・・と云うよりも、S Mホテルがあることさえ知らなかったのです・・
   身体が竦んでしまって、私の躯のような気がしませんでした。

浴室へ行きますと、タイルも浴槽も濃さは異なるものの紫色です。
   『 先生は如何してこんなにゴージャスなモーテルを知っているのでしょう・・』と
   ボンヤリと考えております。
   シャワーを使いまして、白い全身を綺麗にしまして、洗腸も済ませてお腹の中も綺麗
   にしましてから、モーテルに備えてあったバスタオルを胸高に纏い、照明を落として
   あるお部屋に戻ったのです。


     先生は応接ソファーに腰を降ろして、テレビを点けていました。
   どうやらビデオを見ていたようです。
  「あっ・・女王様。お許し下さい!」
   突然、テレビの中から悲痛な声がしました。
   ビデオの中では、中年のマゾ全裸の中年のマゾ男が首輪を付けられて、黒皮のハーネ
   スを着けました女性に引っ張られて、這っています。
   ビデオの中の女性は色が白いので、良くハーネスが似合っております。

     テレビの前のガラス製のテーブルの上には、今しがた買って来ました革製のパン
   ティ・ブラジャーや紅いレースで出来たガーターベルトとメッシュのストッキング
   が綺麗に並べられています。


    「 綾様。いや、綾女王様。これらを着けて・・私を虐めて頂きたいのです。お願
   いいたします」
   黒いトランクス1枚を身に着けた裸の姿で、ソファーに座ってビデオを見ていらした
   先生はいきなりソファーを滑り下りています。
   そう言うと、バスタオルを胸高に巻いて立ち竦む私の前に正座をしますと、深々と頭 
   を下げるのです。
   先生の声は、流石に恥ずかしいのでしょう・・上ずり震えていました。

私は一瞬、何が何だか解かりませんでした。
   賛成がソファーを滑り落ちたのも、幻を見ているとしか思えませんでした。
   ガラスのテーブルの上に並べられている革製のモノも、ストッキングの類も、虐めら
   れる私が着用するものだと思って、虐められる私を想像していたのです。
   私自身が先生に虐めて頂くイメージしか頭にはありませんでした。(つづく)

      
    





















      
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