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小説 舞の楽園 ( 海 )


 

『 海 』  - 83

    「先生・・わたくしもマゾなんですよ・・。いつも、ご主人様方に虐められて可愛が
   って頂いて、喜んでいるマゾ女なんですよ・・」
   『 先生も私と同じようにマゾなんだわ・・。何時もは謹厳な先生だけど、他人には
   絶対言えないような性癖を持っていらっしゃるのね』
   思わず口走ってしまってから、そう云う風に考えています。


     そして・・今ここに・・私の前に跪いて平伏している院長先生を可哀そうに思った
   のです。
   いえ・・ちょっと違います。
   自分が手術までして女にした私に、ご自分の性癖を明かしてまでして虐めて貰いたいと
   言う気持ちを可哀そうだと思ったのです。
   そして・・ダルマさんに良く似た体形をしている先生を可愛くなったのです。

     「 でも・・いいわ!わたし、女王様になって、先生を虐めて上げる・・わ!」
   「ただし・・わたし、女王様なんかやったことが無いから、どの程度できるか分からな
   いのよ。それでも・・いい?」
   恥ずかしかったので、私の言葉はチョッピリ蓮っ葉になっておりました。
   思えば・・物心が付いてから今まで、私は他人を虐めたことが無いのです。私の人生は
   他の人の言いなりになる、人生だったのです。

    健様や錠様のオンナになってからの半年間は無論のこと、男性だった50年間も他の
   人達に虐められたことは何度もありましたが、虐めたり責めたりしたことは1度もあり
   ません。
ですが・・院長先生がトランクス1枚の半裸で私の前に平伏している姿を見まして、同
   じ性癖を持つ者として可哀そうになったのです。
   そして・・先生に君臨している私自身の姿を想い描いたのです。
  『 Sとして、M の先生を虐めるのも面白いかも知れない・・わ』と思ったのです。

    今考えてみると・・女になる手術をして下さった先生が私の前に跪いて、見っとも
   ない姿を晒している、先生に対する同情と、美しくなった私自身の女性の部分に対する
   優越感みたいなものがあったと思われます。
   けれども・・私にS が出来るかどか非常に不安でした。

    「 綾。先生を誘惑して抱いて貰え!お前は女振りも上がったことだし。先生は必ず
   お前を抱くだろう・・」
   「これは・・命令だ!」
   ご主人様の厳命されています。ご主人様かたのご命令には私は逆らう術さえありません。
   どんな酷いご命令にでも、私は従うだけです。

    
     これは・・ずっと後げ知れされたことですが・・
   ご主人様方は「綾は良くやってくれている。先生、綾を抱いては下さいませんか・・?
   綾を楽しませて下さいませんか・・?」とお願いされていたんだそうです。
   「 こんなお願いをする人は・・先生しかいないのです。マゾの綾を抱いてやって下さ
   い!」
   ・・と先生に頼み込んだのです。
   「そんなことは出来ない」
   先生は流石に驚きました。
   最初は断ったそうですが、ご主人様方は強引にも押し切ったそうです。


    ですから・・先生は私が何時「 抱いて下さい」と言うか、興味があったそうです。
   (つづく)
    

    
   
    





















      
 
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