小説 舞の楽園 ( 海 )
- 2022/12/16
- 22:21
『 海 』 - 83
「先生・・わたくしもマゾなんですよ・・。いつも、ご主人様方に虐められて可愛が
って頂いて、喜んでいるマゾ女なんですよ・・」
『 先生も私と同じようにマゾなんだわ・・。何時もは謹厳な先生だけど、他人には
絶対言えないような性癖を持っていらっしゃるのね』
思わず口走ってしまってから、そう云う風に考えています。
そして・・今ここに・・私の前に跪いて平伏している院長先生を可哀そうに思った
のです。
いえ・・ちょっと違います。
自分が手術までして女にした私に、ご自分の性癖を明かしてまでして虐めて貰いたいと
言う気持ちを可哀そうだと思ったのです。
そして・・ダルマさんに良く似た体形をしている先生を可愛くなったのです。
「 でも・・いいわ!わたし、女王様になって、先生を虐めて上げる・・わ!」
「ただし・・わたし、女王様なんかやったことが無いから、どの程度できるか分からな
いのよ。それでも・・いい?」
恥ずかしかったので、私の言葉はチョッピリ蓮っ葉になっておりました。
思えば・・物心が付いてから今まで、私は他人を虐めたことが無いのです。私の人生は
他の人の言いなりになる、人生だったのです。
健様や錠様のオンナになってからの半年間は無論のこと、男性だった50年間も他の
人達に虐められたことは何度もありましたが、虐めたり責めたりしたことは1度もあり
ません。
ですが・・院長先生がトランクス1枚の半裸で私の前に平伏している姿を見まして、同
じ性癖を持つ者として可哀そうになったのです。
そして・・先生に君臨している私自身の姿を想い描いたのです。
『 Sとして、M の先生を虐めるのも面白いかも知れない・・わ』と思ったのです。
今考えてみると・・女になる手術をして下さった先生が私の前に跪いて、見っとも
ない姿を晒している、先生に対する同情と、美しくなった私自身の女性の部分に対する
優越感みたいなものがあったと思われます。
けれども・・私にS が出来るかどか非常に不安でした。
「 綾。先生を誘惑して抱いて貰え!お前は女振りも上がったことだし。先生は必ず
お前を抱くだろう・・」
「これは・・命令だ!」
ご主人様の厳命されています。ご主人様かたのご命令には私は逆らう術さえありません。
どんな酷いご命令にでも、私は従うだけです。
これは・・ずっと後げ知れされたことですが・・
ご主人様方は「綾は良くやってくれている。先生、綾を抱いては下さいませんか・・?
綾を楽しませて下さいませんか・・?」とお願いされていたんだそうです。
「 こんなお願いをする人は・・先生しかいないのです。マゾの綾を抱いてやって下さ
い!」
・・と先生に頼み込んだのです。
「そんなことは出来ない」
先生は流石に驚きました。
最初は断ったそうですが、ご主人様方は強引にも押し切ったそうです。
ですから・・先生は私が何時「 抱いて下さい」と言うか、興味があったそうです。
(つづく)
スポンサーサイト