5月の連休中の出来事―5
私は彼女が大変気に入ってしまいまして彼女に優しく接した故か、彼女も私を
信頼してくれたのです。
そしてそれは恋愛まで進展して、昨年のクリスマスには東京デズニーランドへ
行ったりした程です。
しかし、私は彼女と肉体関係を持とうとはしなかったのです。
彼女を愛していて、そうすれば心と肉体を奪いたいと思うのが当然でしょうが、
それをしませんでした。
本当のところは、私は自分の肉体に自信が持てなかったのです。いや、コンプ
レックスさえ抱いておりました。
それは・・・・前にも書きましたが、性器が皮を冠っていて剥けたことも無い
包茎で、そして子供のように白くて極小なのです。
彼女も年頃の女性です。肉体を奪われることを期待していたとおもうのです。
けれども私はそれをしませんでした。・・・と、言うより出来ませんでした。
彼女は会社のアルバイトも3月一杯で辞めてしまっていましたが、私達は
時間の許す限り連絡をして会っておりました。
「わたし、お見合いをするの・・・」
連休に入る前の日曜日、着飾った彼女と映画を見ての帰りに、喫茶店でお茶を
飲んだ時に言われたのです。適齢期の彼女には、彼女の伯母さんから見合いの
話が持ち上がっていたそうなのです。
それを言う彼女は、肉体を私に奪って欲しそうな様子がアリアリだったのです。
「そうか・・・・お幸せに・・・」
そう呟くしか私には方法が見当たらなかったのです。私には極小の性器故、彼
女を抱こうという行為をする勇気がありませんでした。
「だから・・・もう、会えないわ・・・」
彼女はそう言って泣き出してしまったのです。
「好きだったのに・・・」
別れしなに、彼女が呟いたように思いました。
そんなことがありまして、私は自分の極小の性器を呪いました。そして、こん
な小さな性器を持った息子を産んだ母親をも呪ったのです。
この傷心から少しでも逃れられるならばと、この連休中にブラッと旅行でも
しようかと思ったりしましたが、何もする気は起こらずに唯何となくテレビを
点けていたのです。
(3)
私の部屋に押し入った2人組みの兄貴分の伸二様はニ間しかないマンションの
部屋の中を見渡していまして、襖で仕切られた奥の部屋に全裸で後ろ手に
縛ってしまった私を追い立てたのです。
元々母親が生きている頃から、その襖で仕切られた奥の部屋は、私の部屋になっ
ていたのです。
そこには大きなダブルベッドが置いてありました。
私は小さい頃より、無趣味でして面白みのない人間だったのです。お金は使わ
ないので、それなりに銀行預金がもありました。(続く)
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