小説 舞の楽園 ( 5月の連休中の出来事 )
- 2023/01/31
- 23:37
5月の連休中の出来事―24
吾郎さんは大人しく頷いてタンクトップに手を掛けています。
私は彼の潔いって云うよりも、子供が嬉しいことがあった時にする大きく
頷くような動作に、ニッコリと微笑して脱ぐのを手伝っています。
きっと、吾郎さんは男性にも、ましては女性にも優しくされたり、優しく
声を掛けられたりすることが無かったのでしょう・・・と思ったのです。
丸裸になった吾郎さんは浴室の方へ歩き出し、私はタンクトップを受け
取って食卓テーブルの椅子の上に掛けています。
伸二様の方をそ~と伺いますと、驚いたような顔をしています。あの
凶暴な吾郎さんが私の言うことなど聞くとは思っていなかったようです。
もし吾郎さんが何か反抗でもしたなら、自分が脅かさなければならない
と思っていたようです。
私に云われて嬉しがるように唯々諾々と聞く吾郎さんに、呆れたように
見ていました。
まだ躊躇しているような吾郎さんの背中に手を掛けながら浴室に入り
ました。伸二様も私達の後から就いて来ますが、狭い浴室では大男の2
人と女になった私では狭すぎます。伸二様は入り口の扉のところに立っ
て入っては来ません。
「和子。まずこの鋏で吾郎の頭の毛を切れ!短くしてから剃ってやれ!」
母の形見の鏡台の引き出しから裁ち鋏をも持って来ていて、それを私に
手渡ししています。もう私は吾郎さんの髪を短くするしかありません。
「ゴメンナサイね。吾郎さん・・・」
洗い椅子に座った吾郎さんの耳元で再び囁きますと、黙って大人しく頷
きました。
私が優しく言うと、怒る気も起きないようです。
私は任侠映画で見たことがある、姐さんになったような気がしています。
「ゴメンね・・・」
気弱そうに俯いている吾郎さんを見ていて、粗暴そうなのは子供の時か
ら優しくされたことが無いのではないかと、私は思いました。それなら
ば、これから優しくして上げようと思ったのです。
ちょっと長めの髪の毛に鋏を入れてチョキンと切りました。
吾郎さんは悲しそうな眸をして落ちる髪を見ましたが、伸二様に命令
されて髪を切らざるを得ないと判っているようで、もう何も言いません。
バサッ、バサッと髪の毛がタイルの上に落ちています。短くなった頭を
シャワーで洗って上げてから、私は安全剃刀を使って傷つけないよう
に注意をしながら丁寧に頭を剃り上げたのです。
剃刀は直ぐに詰まってしまって切れなくなって、刃をかえています。
剃り上がったツルツルと青光りをしているような吾郎さんの頭は意外
と格好が良いのです。私はご主人様の伸二様さえいなければ、惚れて
しまいそうです。
「格好がいいわ・・・」
耳元に呟くと、吾郎さんは恥ずかしさの中で満更ではない表情を見
せておりました。
頭の毛を剃り終った私は伸二様を見上げました。
「オッ、意外と格好がいいじゃねえか。吾郎ついでに全身を剃って
もらえ!」
全裸のままに浴室の扉に寄りかかっていた伸二様は先程の話を蒸し
返したのです。
「エッ、頭を丸めたのだから・・・許して下さい・・・」
私は何となく吾郎さんが頭を丸めただけで許して貰えると思ってい
ましたので、驚いております。吾郎さんはもっと驚いて悲鳴を上げて
いました。(続く)
吾郎さんは大人しく頷いてタンクトップに手を掛けています。
私は彼の潔いって云うよりも、子供が嬉しいことがあった時にする大きく
頷くような動作に、ニッコリと微笑して脱ぐのを手伝っています。
きっと、吾郎さんは男性にも、ましては女性にも優しくされたり、優しく
声を掛けられたりすることが無かったのでしょう・・・と思ったのです。
丸裸になった吾郎さんは浴室の方へ歩き出し、私はタンクトップを受け
取って食卓テーブルの椅子の上に掛けています。
伸二様の方をそ~と伺いますと、驚いたような顔をしています。あの
凶暴な吾郎さんが私の言うことなど聞くとは思っていなかったようです。
もし吾郎さんが何か反抗でもしたなら、自分が脅かさなければならない
と思っていたようです。
私に云われて嬉しがるように唯々諾々と聞く吾郎さんに、呆れたように
見ていました。
まだ躊躇しているような吾郎さんの背中に手を掛けながら浴室に入り
ました。伸二様も私達の後から就いて来ますが、狭い浴室では大男の2
人と女になった私では狭すぎます。伸二様は入り口の扉のところに立っ
て入っては来ません。
「和子。まずこの鋏で吾郎の頭の毛を切れ!短くしてから剃ってやれ!」
母の形見の鏡台の引き出しから裁ち鋏をも持って来ていて、それを私に
手渡ししています。もう私は吾郎さんの髪を短くするしかありません。
「ゴメンナサイね。吾郎さん・・・」
洗い椅子に座った吾郎さんの耳元で再び囁きますと、黙って大人しく頷
きました。
私が優しく言うと、怒る気も起きないようです。
私は任侠映画で見たことがある、姐さんになったような気がしています。
「ゴメンね・・・」
気弱そうに俯いている吾郎さんを見ていて、粗暴そうなのは子供の時か
ら優しくされたことが無いのではないかと、私は思いました。それなら
ば、これから優しくして上げようと思ったのです。
ちょっと長めの髪の毛に鋏を入れてチョキンと切りました。
吾郎さんは悲しそうな眸をして落ちる髪を見ましたが、伸二様に命令
されて髪を切らざるを得ないと判っているようで、もう何も言いません。
バサッ、バサッと髪の毛がタイルの上に落ちています。短くなった頭を
シャワーで洗って上げてから、私は安全剃刀を使って傷つけないよう
に注意をしながら丁寧に頭を剃り上げたのです。
剃刀は直ぐに詰まってしまって切れなくなって、刃をかえています。
剃り上がったツルツルと青光りをしているような吾郎さんの頭は意外
と格好が良いのです。私はご主人様の伸二様さえいなければ、惚れて
しまいそうです。
「格好がいいわ・・・」
耳元に呟くと、吾郎さんは恥ずかしさの中で満更ではない表情を見
せておりました。
頭の毛を剃り終った私は伸二様を見上げました。
「オッ、意外と格好がいいじゃねえか。吾郎ついでに全身を剃って
もらえ!」
全裸のままに浴室の扉に寄りかかっていた伸二様は先程の話を蒸し
返したのです。
「エッ、頭を丸めたのだから・・・許して下さい・・・」
私は何となく吾郎さんが頭を丸めただけで許して貰えると思ってい
ましたので、驚いております。吾郎さんはもっと驚いて悲鳴を上げて
いました。(続く)
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