小説 舞の楽園 ( 5月の連休中の出来事 )
- 2023/02/18
- 23:34
5月の連休中の出来事―42
お金を与えられて家の外に出た私は彼等から逃げ出すチャンスでしたが、お
金を使ってしまった今は逃げていれば良かったのかと後悔だけが残っていま
す。けれども、意気地なしの私には逃げたりなどは出来ませんでした。
「ただいま、帰りました」
重くなったスーパーのビニール袋を両手に提げて玄関の扉を開けると、毛
の無い全裸の吾郎さんが私を待っていたように迎えてくれています。
「姐さん、ご苦労様です。本来ならばおいらが行かなくてはならないので
すが・・出歩くことが出来ないもので、勘弁しておくんなさい」
股を開いて腰を落として、昔見た映画の1シーンのような格好です。でも
チンチンまで晒して全裸では様になってはいません。これも伸二様に命令
されてのことだと思いました。
部屋に入ると、伸二様はTシャツにブリーフを着けていました。私は女
の格好をしておりますから、今、また丸裸なのは吾郎さんだけです。吾郎
さんは平気の振りをしていますが、ちょっと恥ずかしそうです。もう、どう
しょうもないと思っているのでしょう、全裸奴隷の身に甘んじているのです。
こう云う所謂ツッパッタ人達は1度屈辱を味会うと、もうどうしょうもな
いと諦めるのが早いのでしょうか?
改めて見てみますと、私は女性の服を着ているせいでしょうか、彼の無
毛の下半身は哀れさを誘うようです。
「下着の有りがたみって凄いものだわ・・・」と思った私です。
「良く帰って来たな。逃げようなどとは思わなかったのか?」
流石に逃げられると心配したのでしょう、伸二様は満面の笑みで言いま
した。
そして、立って来て私を抱いてキスをして来ました。
思えば、信二様がこの家に来てから初めての本格的なキスのように感じ
ます。
立ったまま長身の彼に抱き締められて、私は背を反らして上を向いた
紅を塗った唇を強く吸われました。『ああ。逃げなくて良かったわ・
・・』と私は考えておりました。
そして舌を痛いくらいに吸われながら『こんなわたしを愛してくれ
ているんだ』と思ったのです。『わたしを男じゃなく、女として愛さ
れているんだ』と感じたのです。
すると『これからはこの男性(ひと)無しでは生きて行けないわ。
この男性に就いて行くことがわたしの女の幸せなのかも知れない』
と考えたのです。
『女になって生きて行きたいわ・・・』と決心したのです。
眉も剃り落として会社にも行けなくなっていることと、何度も何
度も女のように犯されてしまったことで諦めの気持ちもあったの
かも知れません。そして、肛門の喜悦を覚えてしまったこともあるか
も知れません。
「あらっ、口紅が付いてしまったわ・・・」
激しい口付けの後に離れた彼の顔を見て、自然と女らしい感覚が
芽生えて言っている自分に驚いています。テレも有ったのかも知
れません。
そして、傍に置いてあったティシュを取って、優しく彼の顔に
ついたルージュを拭いて上げていました。(続く)
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