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小説 舞の楽園 ( 5月の連休中の出来事 )


       5月の連休中の出来事―47
 眉も体毛も剃られてしまっていては、男として生活するのは無理のような
気がしています。それに、この7日間で女装することを強制されていまして、
何故か女装すること自体が嫌ではなくなっていました。いえ、女装をした
いと思うようになっていました。
女物のお洋服を買うと気も、女装者だと気付かれなかったことが満足感と
ともにわたしを有頂天にさせていたのです。
これからは女として生きて行こうかと本気で考えているわたしです。いえ、
女として生きてゆかなければならないと考えておりました。
会社を辞めても、幸いにして少しなら困らない程度の蓄えはあります。
それに、退職金も入ることを考えますと、会社は辞表を出そうかと考え
ました。

一昨年になりますが、私の実のお婆さんの13回忌の法要に行った時の
ことです。田舎に行ったらば「後継がいないこれで海原家も終わりだな。
お前が早く嫁を貰っていればいいのになあ・・・」と叔父が言ってい
たことを思い出していました。
叔父さんには悪いのですが、叔父さんの後を注いで結婚することにしま
して、会社には退職願いを出すことにしたのです。

 「微熱があるので風邪だと思っていましたら、急性の盲腸炎だと言う
ことが判明しました。今、叔父の実家の近くの群馬の病院に入院して
いて、会社には行くことが出来ません。宜しくお願いいたします」
と云う手紙を課長さん当てに書いて退職願いと共に同封いたしました。

市川のマンションは架空の姉が住むことにしまして、2週間ぐらいして
お化粧にも自信が持てるようになったらば、あいさつ回りをしようか
と思っております。
その時は「弟がお世話になっております。弟は転勤で東京を離れます
のでわたしが留守を預ることにしましたので宜しくお願いいたします」
と言ってご近所だけは廻ろうかと考えております。
勿論、私には姉などはおりませんで私自身です。

 こうして私は伸二様を待つ女になりました。
24時間女装での生活を始めました。
それから2週間したある夜のことです。待ち焦がれていた伸二様か
ら連絡が入ったのです。
「明日行くよ」とのことです。
また、思う存分可愛がっていただけるそうなのです。
この日のために習い覚えたご馳走を用意してお待ちを申し上げて
おりますのよ。【完】
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