小説 舞の楽園 ( おやじは俺のおんな )
- 2023/05/21
- 23:50
おやじは俺のおんな (1)
1、 エピローグ
俺の親父は規模は小さいが証券会社の部長だ。162cm・60kgと小柄
であるが、会社ではやり手の部長として通っているらしい。
家ではそんなことを感じさせない。もしろ、俺に対しても甘い親父であった。
年は確か・・・今年、49歳になるはずだ。
はずだ・・・と言うのは親父の年齢なんて、就職する時に親父の年齢を聞い
て書いた記憶がある程度で、息子の俺には関係が無いから覚えていない。今
時分の息子なんてだいたいどこでもそんなようなものだろうと思っている。
俺?
俺は一流とは言えない大学の経済学部を去年卒業して、そこそこの食品会社
へ就職を決めたサラリーマンだ。
家は東京の郊外にある建売住宅で、一戸建てだ。親父はローンでこの家を買
ったらしいのだが、そのローンも後3年ほどで終わるらしいのだ。
親父の会社は東京の大手町にあるが、俺の事務所は隣の街にあるんだ。
お袋は俺が大学2年の時に、交通事故で死んでいる。5年も前の話だ。お袋
が死んだ時には親父は半狂乱になってしまって、自殺まで考えたらしい。
親父はそれだけ、お袋を愛していたのだと思う。
お袋は大柄でお袋と親父はいわゆる世間で言うところの蚤の夫婦って奴だっ
た。
俺はお袋に似たのであろうか、体付きなどは小柄で色も白い親父とは似てい
ない。背丈も180cm、体重は70kgもあるし大柄で色も褐色で、性格
も親父とは正反対であった。
あまりの違いに、<本当に親父の種であろうか?>と、時々考えることも
ある。
もっとも、お袋は浮気の出来る人ではないと思っているが・・・だから、親
父の種であることは間違いないと思っている。
2、太いので突いて・・・
ぞの日は5月の連休も終わって、カラッと晴れた暖かいのを通り越して暑
いくらいの土曜日だった。
親父の会社は証券会社なので、土曜・日曜と休みで親父は家に居る。
お袋が生きていた当時は、土曜日となると1人息子の俺のことなど放って
おいて、2人で旅行や食事、映画鑑賞等に出掛けて行っていたものだ。
もっとも俺も高校生にもなると、2人に就いて行くなんてことよりも友達
と一緒に遊んでいた方が数倍楽しいので、そちらを選んでラブラブの2人
を2人切りにさせていたのである。
これでも俺は気を使っている積りだったのだ。
俺の勤務する食品会社は基本的には土曜・日曜と仕事は休みであるが、仕
事が忙しかったり、小売店からのクレームが入ると、もう土・日の休みは
無いものと言っても過言ではなかった。
「明日は、休みか?」
「ううん。明日は出なければならないんだ!」
金曜日の夜遅く寝しなに親父に聞かれて、俺はそう答えていた。(続く)
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