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小説 舞の楽園 ( ギブス )


         ギブス  -2
 とても男だとは思えなかった。
柔らかそうなその白い肉体の持ち主は、男の興奮を掻き立てる何かを持ってい
た。

 いきなり扉を開けられて、ビックリしたのは龍三と庄司だけではない。
扉を突然開けられて一番驚いたのは紀夫自身であった。
右足の骨折も大分回復してきて、今日から車椅子ではなく松葉杖を使うことを、
担当の医師先生から許可が下りたのである。
森下紀夫は許可が下りたら、前々から妄想していたことを実行に移そうと思っ
ていたことがある。車椅子からの決別の自分だけのお祝いをする積りであっ
たのだ。
彼のお祝いとは病院のトイレに於いて、若い男に襲われる女性になる積りで
あった。空想上の女性 「紀香」になることである。
その日のために車椅子に乗れるようになってこの1週間、夜中になると、病
院内のトイレへ出没しては人気のない時間と場所を調べていたのである。
そしてやっと決めたのが、守衛さんが見回りを済ませた午後10時から2時
までの、1階のこの車椅子用のトイレであったのだ。
この城東総合病院はこの地方の総合病院であり、建て直しをしてから5年
位は経ていた。
しかし、紀夫の見回ったトイレはどこも綺麗に清掃も行き届いる洋式便所で
あった。
各階の普通の人の使用するトイレは、犯してくれる人と2人で入るには狭す
ぎた。そこへ行くと、車椅子用のトイレは中も広々としていて妄想上の紀香
が犯されるのには持って来いの広さであった。
ただ、入り口が頑丈な扉ではなく、ビニール製の蛇腹の目隠し程度の戸であ
るというのが不安といえば不安であった。
しかし、夜中の10時を過ぎると人通りもなくなることを考えると、紀夫は
開けられることは無いであろうと、自分を納得させていた。

 (2)紀夫の妄想
 今、紀夫の妄想は最高潮に達していた。
足を怪我している森下紀夫は否、森下の紀香は病院の車椅子専用トイレに
連れ込まれて暴漢と2人切りであった。
男は紀香の脚が悪いことをいいことに、紀香の格子柄のパジャマのズボンを
取り去って下半身をスッポンポンにして、両足を金属のバーの上に乗せてい
た。
そして、紀香が嫌がっているのに女陰に指を入れようとしているのだった。
紀夫は緑色の薄い格子柄のズボンと白のボクサーパンツを自分で脱ぐと、怪
我をした悪い方の右足を苦労して、車椅子を支えるアルミ製のバーの上部に
乗せた。
悪くない方の左足は乗せるのは簡単だった。
紀夫の今の格好は上半身は格子柄のパジャマを引っ掛けてボタンは全部外し
て、胸のピンクの蕾も顕になっている。
パンツを脱いだ色白の小さなお尻は蓋を閉めた便器の上にあり、両足はアル
ミのバーの上にあった。(続く)
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