小説 舞の楽園 ( ギブス )
- 2023/06/21
- 23:12
ギブス -5
しかし今両足をバーの上に上げて下半身を丸出しの格好では、恥ずかしくっ
て如何しようもない。とりあえず、脚を下ろすことが先決だった。
「スミマセン。この脚を下ろしたいのですが・・・」
龍三には無傷の脚を、庄司には背中を押さえられたままの姿勢ではどうしょう
もないのだ、と言うことを分かって貰いたいと口にしていた。
その紀夫の下半身丸出しの恥ずかしそうな姿態が、2人の嗜虐心をいたく刺激
していることも知らないで口にしていた。
龍三と庄司は平常な性癖の持ち主であったが、入院している幼馴染の譲はちょ
っとSがかっていた。3人で女の子に悪さをする時には女を苛めるのは譲であ
ったのだ。
龍三と庄司はそれを見ていて加わりたくはなかったが、ちょっとだけは真似し
てみようと思っていた。女にもてる譲に対して、女を作って対抗しようとして
いたことはあった。
そして、譲の見舞いに来て可愛い顔をした紀夫を知って、お友達になりたい
と思っていた。
それが、このトイレで紀夫の恥態を見てしまったので、このチャンスを活かさ
ない方法はないと瞬時に考えてしまっていた。
2人にとっては幸いにしてだが、紀夫にとっては不幸にしてだが、紀夫が紀香
になったところであったのだ。
紀香は男に襲われることを想像するマゾ女であったのだ。
そのマゾ女に紀夫は化していた。
「脚を下ろしたいだって・・。このままの方がいいんじゃないか?紀香ちゃ
ん。今の話に返事をしてくれたら、脚を下ろすことも考えてもいいんだがな」
龍三がニヤリと笑いながら言って、脚を掴んでいる手に力を加えた。
「い、今の話って・・・?」
恥態に恥ずかしくって頭が混乱している紀夫はドモッテいる。
「俺たちの女になるって言うことさ。女になれば思い切り可愛がってやるぞ
!!」
庄司が本気で言った。真剣な表情だった。
<とうとう来たか>
紀夫は固まってしまった。恥態を見られてしまった時から心のどこかでは覚
悟していた言葉だった。
女に成りたいのは事実であった。今もこの身障者用のトイレで下半身裸になっ
て、男の人に襲われることを想像して、紀香になってオナニーをしていたのだ。
それを、この2人に目撃されて、今こうして押さえ込まれているのだ。
<このまま紀香として、彼らに犯されてしまおうか>と思った。
彼らは僕を「女になれ」と言っている。もしここで「いやだ」と言っても彼ら
からは開放されないであろう。
名前も分かってしまっているのだから、病院に聞けば住所や勤務先位はそぐに
分かってしまうに違いない。
• ・・と、絶望的に考えている。
そして、<嫌がっても、女として彼らに犯されるかもしれない>と思ったのだ。
<怖い。怖いが女として犯されるならば、僕の望んでいた通りになるかもしれ
ない・・・>と、考えたのだ。
そして、オズオズとであるが小さく頷いていた。(続く)
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