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小説 舞の楽園  (私の心と肉体 ) <第2部>

   
       私の心と肉体( 第二部 )-1
    < 1 >
  神様は如何して、こんなに悪戯で冷たく、そして残酷なのでしょう。
私とご主人様との幸せで甘い生活は、突然の事故によってピリオドを打たれてしまい
ました。
それは私達が知り合ってからもう直ぐ一年になろうとする3月の寒い日でした。
健次様はその日、軽トラックで電機機器を配送に行っての帰り道、交差点で大型トラ
ックと正面衝突してしまったのです。
私はその時刻、アパートのお部屋に居まして、何か胸騒ぎがして落ち着かなかった
ことを覚えています。
即死状態で病院ひ運ばれて、警察の方から連絡を受けて病院へ駆けつけた私の目の
前で息を引き取ったのです。
「一子・・・済まない。お前をこんなにして・・・ゴメンネ・・・」
息せき切って私が駆けつけた時に、奇跡的に意識を取り戻されて蒼白なお顔をして、
私を見るなりそう言って息を引き取ったのです。
私が来るのを待っていたとしか考えられません。
健次様に取り縋り化粧が落ちるほど私は号泣しました。
後で警察の方にで知らされたのですが、健次様は私の全裸の写真と電話番号を免許
証に挟んであったそうです。それでご家族の方よりも早く病院に行けたのです。
それを受け取る私は写真を見られた恥ずかしさよりも、健次様の私への愛を感じて
涙にくれたのです。

 お葬式は健次様の実家で、それは盛大に行われました。
私が見知っている営業所の元部下や会社関係の人達も多数来ていました。しかし、
黒の喪服を着た私が「元の営業所長だとは」誰も気が付かなかったようです。勿論
女の喪服です。
けれども、私のような日陰の大っぴらに身分を明かすことが出来ない者は、とても
いたたまれません。通夜の参列者に紛れて、ご位牌にそっと手を合わせてご冥福を
祈るのが精一杯でした。誰にも・・・判らないように・・・


   < 2 >
 それから10日ばかり、私は食事もろくに取らずに、泣いてばかりおりました。
こんな惨いことをお許しになった神様を恨みました。
突然、インターホーンが鳴ったのです。ご主人様との合図の3回長く、3回短く鳴る
合図のブザーだったのです。
「あなた・・・」
健次様がお亡くなりになったことも忘れて、反射的に全裸になると玄関に座ってい
ました。
「お帰りなさいませ・・・あなた・・・」
全裸で正座をして、膝を広げて小さな性器を見せて、深々と頭を下げている私はもう
普通ではありませんでした。
玄関に入っていらしたのは健次様のお父様とお兄様でした。お父様とお兄様は私が
全裸で、板の間に正座をしているのを見て、棒立ちになってしまわれたのです。
健次様は実家のお父様とお母様には私のことは話していなかったのですが、お兄様
には「一子と言う女とくらしているんだ。結婚をしたいのだが訳があって出来ない
人なんだ・・・」と話していたようです。(続く)
 
       私の心と肉体( 第二部 )-2
 長く伸びたストレートのヘアを掻き揚げた私はニッコリと笑おうとしましたが、
ご主人様では無いことに気が付いたのです。全身が凍り付いてしまいました。
「あっ、イヤッ・・・見ないで下さい・・・」
ご主人様では無い・・・私は全身に血が登り、思わずそう叫んでいました。そして
大きくなったお尻を振りながらお部屋の奥に駆け込んだのです。
大慌てでお洋服を着たのですが、何しろ玄関からは何もかもが見渡せる1DKのアパ
ートです。全裸の私の慌てようが、玄関に立ったお2人には丸見えでした。
勿論、私が本物の女では無く、脱毛はして有りますがオッパイを膨らませただけの
、偽女だと云うことは判ってしまったと思います。
特にお兄様には「結婚できない理由があるんだ・・・」と言った健次様の言葉の意
味が判ってしまったことでしょう。

 「お恥ずかしい姿をお見せして、軽蔑ばさったことでしょう。錯乱をいたしまし
て、健次様がお帰りになったものと勘違いをいたしました。お恥ずかしい限りでご
ざいます」
「お父様とお兄様ですわね。どうぞ・・・散らかっておりますが、どうぞお入りに
なって下さいませ・・・」
作り付けの鏡の扉の裏側にある洋服ダンスにあった、唯一膝を隠せる紺のワンピー
スを全裸の上に羽織って、お2人に上がって貰うことにしました。もう私の心は
『どんな酷いことを言われようとも、決して泣くまい・・・」・・・と決心してい
ました。そして・・・優しかった健次様の面影を抱いて、このアパートを出て行こ
う・・・と思っていたのです。
私は今まで健次様のお世話になっていたので、働いてはおりません。だから「もう
このアパートにも居ることが出来ないわ・・・」と思っていたのです。「お2人は
そのことを言いに来られたのかしら・・・」と考えたのです。

 インスタントのコーヒーを淹れてテーブルに衝いているお2人の前に出しますと、
もう2人掛けの小さなテーブルには私の座る場所がありません。
私はベッドの横のジュータンの上に正座をしました。
「親父。俺達もそこに座ろう!」
コーヒー茶碗を持って正座の私の前に、お兄様は胡坐を掻きます。お兄様のその姿
は、まるで健次様に生き写しなのです。。それを見て涙が溢れそうです。
お父様も続いて座りました。
「初めまして・・・わたくしは小池一夫と申します。健次様には生前、ひとかたな
らぬお世話を頂いておりました。先程は取り乱して、失礼をいたしました」
正座をして白い膝小僧を出している私は自己紹介をしまして、頭を下げました。
このお2人には、包み隠さずに何でもお話をする積りになっておりました。
一時の錯乱状態から脱した私は、背筋をシャンと伸ばして、ミニのワンピースの裾
から出ている白い太股まで剥き出ている膝に手を当てています。(続く)

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